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アストロスケール、終値は1375円–公開価格を6割上回る、東証グロースに上場
2024.06.05 16:54
東京証券取引所グロース市場に6月5日新規上場したアストロスケールホールディングス(東京都墨田区、銘柄コード186A)の終値は1375円。公開価格850円を61.7%上回った。
買い気配で始まり、初値は公開価格を50.7%上回る1281円。6月5日終値での時価総額は1554億1405万円。
子会社アストロスケールが2015年に設立(持ち株会社の同社は2018年に設立)。シンガポール、イギリス、アメリカ(デンバーとワシントンDC)、テルアビブ、フランスの5カ国に拠点を構える。連結ベースで4月末現在の従業員数は376人。宇宙ゴミ(スペースデブリ)除去を含む「軌道上サービス」が中核事業。
アストロスケールはデブリ除去などの技術実証を目指す宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「商業デブリ除去実証(Commercial Removal of Debris Demonstration:CRD2)」プロジェクトのフェーズ1として「商業デブリ除去実証衛星(Active Debris Removal by Astroscale-Japan:ADRAS-J)」を2月に打ち上げた。
ADRAS-Jは、過去に打ち上げられた「H-IIA」ロケット15号の第2段を対象デブリとして近傍接近を開始。ADRAS-Jの目的は、対象デブリへの接近、近傍運用(Rendezvous and Proximity Operations:RPO)を実証し、長期間放置された対象の運動や損傷、劣化といった状況を撮影することだ。
ADRAS-Jの対象デブリは、自らの位置情報を発信しない“非協力物体”。そのため、ADRAS-Jは対象デブリの位置データや姿勢制御などの情報を得ることができない。
劣化や回転の具体的な状況など軌道上でのデブリの状態を把握しながら安全、確実にRPOを進めることは、デブリ除去を含む軌道上サービスを提供するための基盤になる。
ADRAS-Jは実際のデブリに安全に接近し、デブリの状況を明確に調査する世界初の試みとなり、4月26日に対象デブリに数百メートルまで接近した。
こうした成果から、CRD2のフェーズ2に選ばれている。フェーズ2では、フェーズ1と同様にデブリにRPOを実施。画像データを取得するとともに、対象デブリを捕獲してから軌道を離脱させることを狙っている。アストロスケールは今後、デブリを捕獲するためのロボットアームを含め、フェーズ2で運用する「ADRAS-J2」(Active Debris Removal by Astroscale-Japan2)の開発を進めていくとしている。
関連情報
アストロスケールホールディングス有価証券届出書(PDF)