ElevationSpace、NEDOディープテックスタートアップ支援事業に採択

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ElevationSpace、NEDOディープテックスタートアップ支援事業に採択

2023.12.26 12:26

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 ElevationSpace(仙台市青葉区)は12月26日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「ディープテック・スタートアップ支援基金/ディープテック・スタートアップ支援事業」の2023年度第2回公募で「STS」フェーズに採択されたと発表した。

 NEDOによるディープテック・スタートアップ支援事業は、2022年に政府が決定した「スタートアップ育成5カ年計画」の目標に向けて、ディープテック分野のスタートアップへの投資などを促進しつつ、グローバル市場も視野に入れた事業成長や革新的な技術の確立、事業化、社会実装などを加速させることを目的にしている。

 ディープテック・スタートアップ支援事業は、技術の確立や事業化、社会実装までに長期の研究開発と大規模な資金を要し、国や世界全体で対処すべき経済社会課題の解決に貢献できると考えられる、革新的な技術の研究開発に取り組んでいるディープテックスタートアップに以下の3つのフェーズで研究開発や事業化で支援する。

  • STS(Seed-stage Technology-based Startups)=実用化研究開発(前期)、要素技術の研究開発や試作品の開発などに加え、事業化に向けた技術開発の方向性を決めるための事業化可能性調査などを支援
  • PCA(Product Commercialization Alliance)=実用化研究開発(後期)、試作品の開発や初期の生産技術開発などに加え、主要市場獲得に向けた事業化可能性調査などを支援
  • DMP(Demonstration development for Mass Production)=量産化実証、量産技術の研究開発や、量産のための生産設備、検査設備などのの設計、製作、購入、導入、運用などを通じて商用化に至るために必要な実証などを支援

 NEDOのディープテック・スタートアップ支援事業では、事業性を担保するためベンチャーキャピタルなどが伴走支援者となり、助成事業期間中のハンズオン支援なども行う。

 STSフェーズに選ばれたのは「高頻度宇宙実験・回収事業に向けた回収型宇宙実験システムの開発」。助成期間は2026年3月末まで。

 支援事業に採択されたことでElevationSpaceは、国際宇宙ステーション(ISS)の2030年末の運用終了後も持続的に利用できる宇宙での実証や実験の場を提供するとともに、宇宙での実証や実験の成果物を地上に帰還させられる、宇宙環境利用回収プラットフォーム「ELS-R」の開発を加速させるとしている。

 ELS-Rに加えて、ポストISS時代に向けて開発が進む民間宇宙ステーションなど人間が滞在する大型の地球低軌道拠点に輸送して必要なときに物資を詰め込んで地球に帰還させるサービス「ELS-RS」の開発にもつなげていく。

 ElevationSpaceが2025年の打ち上げを予定しているELS-R衛星初号機(愛称「あおば」)に搭載される貨物(ペイロード)枠はすでに完売している。初号機への需要が高いことから、当初2028年に予定している2号機の打ち上げを2026年に前倒し。2号機に搭載するペイロードも募集を開始している。

 ポストISSでは、米企業などが進める民間宇宙ステーションがある。そうした民間宇宙ステーションに接続できる日本の実験棟(現在の「きぼう」の後継)の概念検討の実施者として宇宙航空研究開発機構(JAXA)は三井物産を選定。この取り組みの中でElevationSpaceは高頻度サンプルリターンサービス事業の検討を進めている。

ELS-Rコンセプト動画(出典:ElevationSpace/YouTube)

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ElevationSpaceプレスリリース

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