三井物産、ISS実験棟「きぼう」後継機の概念を検討--JAXAが選定

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三井物産、ISS実験棟「きぼう」後継機の概念を検討–JAXAが選定

2023.09.14 16:28

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、米国の商業宇宙ステーションに接続可能な今後の日本実験棟に関し、概念検討の実施者として三井物産を選定した。

 現在運用中の日本実験棟「きぼう」は、国際宇宙ステーション(ISS)に接続されている。2030年末までの運用が決定しているISSは、それ以降に退役となる予定だ。

 地球低軌道(LEO)での活動を重要視するJAXAは、開発中の米国商業宇宙ステーションにきぼう後継機を接続し、宇宙空間や無重量環境での実験などを行う考え。そこで「民間主導の地球低軌道有人拠点事業における米国商業宇宙ステーション接続型日本モジュールの概念検討」という取り組みを通じ、きぼう後継機となる日本モジュールの保有と運用の事業化を調査する。

 今回の取り組みでは、三井物産が開発仕様やスケジュール策定、リスク分析、費用算定、実施体制の構築などを担当する。パートナー企業と連携し、現在のISSに物資を輸送していた「宇宙ステーション補給機(H-II Transfer Vehicle:HTV)」(愛称「こうのとり」)の後継となる「新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)」の一部改修開発をベースにして、事業化を検討していく。主なパートナー企業は以下の通り。

 現在取り組みが進められている民間企業による宇宙ステーションには、米Sierra Spaceなどの「Orbital Reef」、米Axiom Spaceなどの「Axiom Station」、米Nanoracksなどの「Starlab」がある。なお、三井物産はそのうちの1社であるAxiom Spaceに出資している。

 6月に閣議決定した宇宙基本計画では、きぼうを活用した民間の利用ニーズ掘り起こしの重要性やポストISSにおける日本としての在り方を検討する方針を明記。三井物産は、きぼうからの超小型衛星放出サービスを販売している。

 2022年度にはJAXAの「持続可能な地球低軌道における宇宙環境利用の実現に向けたシナリオ検討調査」を手掛け、JAXAを含む日本の宇宙産業関係者に対してポストISS時代の日本としての関与方法を提言した。

JAXAが開発中のHTV-X(出典:JAXA)

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三井物産プレスリリース


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