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ワープスペース、「アンビエント発電素子」を共同で研究開発–電源を冗長化

2022.04.22 07:30

飯塚直

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 小型衛星を活用した宇宙空間での光通信サービスの実現を目指すワープスペース(茨城県つくば市)は4月20日、GCEインスティチュート(東京都中央区)と共同で宇宙用「環境熱(アンビエント)発電素子」を研究開発すると発表した。

 GCEインスティチュートは、未利用排熱や環境熱を電力へと変換するエネルギー変換テクノロジーであるアンビエント発電の確立と普及を目指している企業。

 今回、宇宙空間における電源の冗長性確保と、同技術を応用した地上でのカーボンニュートラルな社会の実現への貢献を目指し、両社で宇宙用アンビエント発電素子を共同で研究開発する契約を締結した。

アンビエント発電デバイスの概要(出典:GCEインスティチュート)
アンビエント発電デバイスの概要(出典:GCEインスティチュート)

 ワープスペースは、地球観測衛星がより大容量かつ即応的に地上に観測データを送信できるようにし、月や火星といった宇宙の遠隔地とのシームレスな通信環境を実現するため、光通信中継ネットワーク「WarpHub InterSat」の開発を進めている。

 現在、宇宙空間では、太陽光エネルギーが最も効率的かつ安定的な電力ソースとなっている。しかし、太陽光に変わる電力源としてアンビエント発電素子が実現できれば、WarpHub InterSatに使用する中継衛星の電源の冗長化が期待できるという。

 これまで、衛星は軌道中の夜間帯での観測データの増加に不得手とされてきた。さらには、永久夜が存在する月や太陽光の及ばない深惑星などにおける探査に貢献できる可能性があるとしている。

 同技術は地上での応用も可能だと考えているという。現在、地球温暖化に対して、水素やバイオなどの代替可能なエネルギーの開発が進められている。

 その中で、同技術が実用化できれば、未利用熱という地上のどこにでも存在するエネルギーを利用し、発電システムや送電網などが整っていない場所に対して、新たなエネルギーの選択肢を提供できると考えているという。

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