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三井住友海上、「月保険」をispaceと共同開発–月着陸船の損害を補償
2022.10.11 17:45
三井住友海上火災保険は、今後拡大が予想される月面ビジネスで発生するリスクを補償するため、打ち上げから月面着陸までを補償する世界初の「月保険」をispace(東京都中央区)と共同開発した。10月7日に発表した。
同保険では最短で、ispaceが米Space Exploration Technologies(SpaceX)の商業用打ち上げロケット「Falcon 9」を使って2022年11月に打ち上げを予定する月着陸船(ランダー)での損害を補償することになるという。
三井住友海上は、2019年2月にispaceの民間月面探査プログラム「HAKUTO-R」のコーポレートパートナーとして参加することで合意。人類にとって未知の領域である月面や月までの航路といった新たな挑戦に対して全力で立ち向かえるように、月保険の組成に関して2022年4月21日に覚書を締結、協業を開始した。
ispaceとの協業を通じて、月への航路や着陸の際に起こり得るリスクなどを分析。ロケット打ち上げから月遷移軌道上でランダーが切り離され、月までの長期間におよぶ航行期間や月面着陸時に発生する損害について、協議を重ねてきたという。
今回、新たな宇宙保険のラインアップのひとつとして、打ち上げから月面着陸までをシームレスに補償する月保険を共同開発した。
地上では損害箇所を目視で確認できるが、宇宙屋月面では損害の目視が難しいことから、同保険ではランダーから発信されるさまざまなデータを地上で受信し、ランダーの状態を確認。データが受信できない場合やデータに異常値が確認できた場合など、予定していた月面航行や着陸が達成できない場合に保険金を支払うという。
今後は、ispaceを含む月面開発を企図している事業者へと同保険を提供し、月面市場のビジネス創出を後押ししていく。宇宙旅行や民間宇宙ステーション(ポストISS)のような、新たな宇宙領域で生じるリスクを軽減するソリューションの提供も予定するという。