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スペースデータ、エジプトの大学などと宇宙技術で連携

2025.05.19 17:00

UchuBizスタッフ

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 スペースデータ(東京都港区)は5月19日、エジプト日本科学技術大学、一般社団法人のUNISEC-Globalやエコロジー・カフェ(東京都千代田区)の3機関と宇宙技術を活用した持続可能な社会・経済の実現に向けた国際連携の覚書(MoU)を締結したことを発表した。

 今回の取り組みは、国際協力機構(JICA)の正式支援を受けた研究プロジェクトとして採択されており、日本とエジプトの宇宙技術連携を軸に中東アフリカでの社会課題解決を目的にしている。以下の重点分野で協力していく。

  • 宇宙技術やデジタル技術を通じた日・エジプト間の研究・産業協創モデル構築
    • 双方の大学や企業、関係機関などを巻き込み、各国の研究成果を社会実装に結びつける持続可能な国際産学官連携モデルの確立を目指す
  • デジタルツイン技術の利活用による社会課題解決
    • 衛星データとAI(人工知能)を活用したデジタルツイン技術で、世界遺産保全や気候変動対応、防災対応などの社会課題や地域課題に対するシステムを共同で開発する
  • グリーンエネルギーやインフラへの宇宙技術応用
    • 再生可能エネルギーの導入や都市計画、農業開発、水資源管理、海洋監視などのインフラ開発、スマートシティ構想などでの宇宙技術活用に取り組む
  • 宇宙人材の育成支援
    • 衛星開発・運用に関わる教育プログラムやハンズオン型ワークショップを共同で実施して、エジプトでの次世代の宇宙人材基盤を育成する
  • 小型衛星の設計・製造・運用ノウハウの共有小型衛星の設計・製造・運用ノウハウの共有
    • 衛星のミッション設計、システム開発、地上局運用までを視野に入れて包括的に支援する

 今回のMoUに基づいて、日本とエジプトの産学官関係者による委員会を立ち上げる予定。UNISEC-Globalが推進するプログラム「Nano-satellite IoT Constellation Mission by International Collaboration」と連携して地上のセンサーデータの取得から衛星を介した情報収集、AI(人工知能)統合による準リアルタイム・デジタルツインの実現可能性調査まで包括的な取り組みを委員会主導で進める。

 エジプト日本科学技術大学(Egypt-Japan University of Science and Technology:E-JUST)はエジプトと日本の両政府の戦略パートナーシップに基づいて2010年に設立された教育機関。日本の大学や産業界が協力して日本型の工学教育の理念と質を取り入れた教育研究体制を構築して、アフリカや中東での高度人材育成や産業技術力の強化を目指している。キャンパスでは、日本式の実験や演習重視のカリキュラム、研究志向の大学院教育、複数の研究センターを備え、国際連携の拠点としての役割も担っているという。

 UNISEC-Global(University Space Engineering Consortium-Global)は宇宙教育の普及と平和的な宇宙利用を推進するため、2013年に設立された国際ネットワーク組織。世界各国の大学や教育機関が加盟し、主に小型衛星の設計や開発、運用、宇宙を利用する人材の育成を支援している。

 日本のUNISECである、NPO法人の大学宇宙工学コンソーシアム(東京都文京区)を母体に実践的な教育、国際会議やセミナーの開催、共同プロジェクトの推進などを通じて、宇宙を通じた国際協力と地域発展に貢献していると説明する。

 エコロジー・カフェは、絶滅の危機にある野生生物の保護と消滅の危機にある生態系の保全、身近な自然を利活用する方法の開発と提供を提供を通じて、子どもたちの気づきや発見する心の育成と自然との共生を基本とした持続可能な地域社会の形成を目指しているという。

(左から)スペースデータ 安全保障事業本部長兼政策戦略本部長 薮下成仁氏、E-JUST学長 Amr Adly氏(出典:スペースデータ)
(左から)スペースデータ 安全保障事業本部長兼政策戦略本部長 薮下成仁氏、E-JUST学長 Amr Adly氏(出典:スペースデータ)

関連情報
スペースデータ プレスリリース(PR TIMES)

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