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大手損保の宇宙ビジネス最前線–東京海上日動と三井住友海上の2社が説明

2022.10.06 13:42

小口貴宏(編集部)

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 日本の宇宙ビジネスで存在感を高めているのが損害保険会社だ。北海道帯広市で開催された宇宙ビジネスカンファレンス「北海道宇宙サミット2022」では、最上位の協賛企業であることを意味する「ダイヤモンドスポンサー」は東京海上日動三井住友海上の2社だった。

東京海上日動「国際宇宙保険市場へのアクセスが強み」

 なぜ保険会社は宇宙ビジネスに注力するのか、東京海上日動火災保険(東京海上日動)で常務執行役員を務める松田誠太氏は「2040年までに宇宙産業は150兆円に成長するとの予測もある。民間の有人宇宙飛行もついに実現し、宇宙産業は新たなフェーズに入った。保険の引き受けを通じてさまざまなリスクをテイクすることで、民間投資を後押ししていきたい」と述べた。

東京海上日動火災保険で常務執行役員を務める松田誠太氏

 松田氏によると、東京海上日動は日本の宇宙保険のパイオニアなのだという。同社は2022年に世界初の「月保険」を英国の宇宙保険企業であるBeazleyと共同開発し、月面探査の実現をめざす日本のスタートアップであるダイモン保険契約を締結したという。同保険では、予定していた月面探査のミッションが達成できなかった場合に、月面までの輸送費用や、月面探査ローバーの製造費用などを補償する内容となっている。

 また、宇宙保険の提供には、国際宇宙保険市場へのアクセスが重要になるという。世界には数多くの損害保険会社が存在するが、このうち宇宙に関連する会社は約40社ほどしか存在せず、世界全体でも100人程度しか宇宙保険業界に従事していないという。こうした特殊なマーケットである国際宇宙保険市場に東京海上日動はネットワークを有しており、同市場と日本の宇宙企業をつなぐ”架け橋”となる取り組みを推進しているという。

 また、東京海上日動はインターステラテクノロジズ(IST)が中心となって推進する「みんなのロケットパートナーズ」にも参画。ISTが現在開発中の超小型衛星打ち上げロケット「ZERO」のグローバル展開に向けて、ISTと国際宇宙保険市場との接点構築をサポートするという。

三井住友海上「9月に新たな宇宙保険商品を開発」

 三井住友海上火災保険(三井住友海上)も宇宙保険に力を入れている1社だ。2022年9月上旬には宇宙保険の特設サイトを開設している。

 同社で常務執行役員を務める古賀博之氏によると、同社の宇宙保険の歴史は1975年に遡る。当時、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の前身だった宇宙開発事業団(NASDA)が初の人工衛星「きく1号」を打ち上げた際に、万が一打ち上げに失敗し、周囲の家屋に損害を与えた場合に備え、宇宙賠償責任保険を提供したという。

三井住友海上火災保険で常務執行役員を務める古賀博之氏

 そんな同社だが、2022年9月に民間向けの宇宙保険商品を開発した。それは、ロケットや人工衛星の打ち上げ前から打ち上げ後までのリスクを補償する計4つの商品だ。

・打ち上げ前までのロケットや人工衛星の損害を補償する「打上げ前保険」
・打ち上げ時の損害を補償する「打上げ保険」
・宇宙空間に到達してからの人工衛星の損害を補償する「寿命保険」
・ロケットの打ち上げや人工衛星の運用などによって生じた第3者への損害賠償責任をカバーする「宇宙賠償責任保険」

 同社は、民間による月面探査をめざすispaceと「月保険」の提供に向けて合意。早ければ2022年11月に打ち上がる月着陸船「HAKUTO-R ミッション1」について、月への航路や月面にて起こりうるさまざまなリスクを補償するという。また、JAXAとは民間宇宙旅行保険を共同で開発しており、誰もが安心して宇宙に行ける時代をサポートするとしている。

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