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Space Compassと欧州宇宙機関、衛星間光通信での相互運用性の可能性を検討
2025.03.26 17:15
Space Compassと欧州宇宙機関(ESA)はそれぞれが主導する衛星間光通信ネットワークの実証プログラムで相互運用の可能性を検討する覚書を締結した。3月25日に発表した。
Space Compassは2022年度から「LAIDEN」プロジェクトを主導。同プロジェクトは、地球低軌道(LEO)で光通信衛星コンステレーションを含むネットワークを構築するというもの。情報通信研究機構(NICT)やアクセルスペース、NECが協力。実証衛星での軌道上試験を予定している。この試験には、Space Compassが予定している静止軌道(GEO)衛星との接続も含まれている。
ESAが主導する「HydRON」プロジェクトは容量がテラビット級という、地上ネットワークと統合された「クラウドを超えたインターネット」をうたう技術の開発と検証を可能にすることを目指すという取り組み。
HydRON(High thRoughput Optical Network、高速光通信)は、ESAでの衛星通信分野での技術開発プログラム「ARTES 4.0」の一環として進められている。HydRONのデモシステムは、カナダのKepler CommunicationsとイタリアのThales Alenia Spaceがそれぞれ主導する2つの産業コンソーシアムで構築される。
ESAとSpace Compassは、HydRONとLAIDEN、Space CompassのGEO衛星を含む複数のレイヤーでの光通信に関連して協業の可能性を探ることに合意した。具体的には、以下のような目標を検討する。
- 技術的な実現可能性を議論し、相互運用性試験を実施する準備
- 両システム間の相互運用性を検証、確認するための試験計画の策定
- 共同での軌道上試験の実行
Space Compassのビジョン「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」は、革新的な通信やコンピューティング技術を活用して、さまざまな宇宙ネットワークを統合、処理することを目指している。今回の複数レイヤー間での光通信での協力は、同社も参画している「高速光通信標準化活動(ESTOL)」とともに、このビジョンの実現をさらに加速させるものと説明している(ESTOL=ESAが主導する高速光通信標準化活動、ESA Specification for Terabit/sec Optical Links)。
LAIDENプロジェクトは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「経済安全保障重要技術育成プログラム」(Kプログラム)で「光通信等の衛星コンステレーション基盤技術の開発・実証」に採択されたもの。