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NTTとスカパーJSAT、7月に合弁会社–低軌道と静止軌道で光データリレー伝送

2022.04.27 07:45

阿久津良和

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 日本電信電話(NTT)とスカパーJSATは4月26日、合弁企業「Space Compass」を7月に設立することを発表した。Space Compassは光データリレーサービスによる宇宙データセンター事業や宇宙での無線アクセス網(Radio Access Network:RAN)事業を中長期の目標に掲げている。

 両社それぞれが90億円を出資する。宇宙データセンター事業は2024年度、宇宙RAN事業は2025年度の開始を予定している。

 スカパーJSAT 代表取締役 執行役員社長 米倉英一氏は「早期に100億円規模の商圏を取得して、将来的には1000億円規模の事業を目指す」と意気込みを語った。NTT 代表取締役社長 社長執行役員 澤田純氏はSpace Compassを「私たちの宇宙衛星事業中核企業として、将来のネットワーク構想を実現する第一歩」だと位置付けている。

低軌道衛星のデータを静止軌道衛星経由で伝送

 NTTとスカパーJSATは、宇宙事業のための業務提携契約を2021年5月に締結しているが、Space Compassの設立は業務提携を具現化した形となる。現時点で明確な事業展開は宇宙データセンター事業と宇宙RAN事業の2つ。

 宇宙データセンター事業は低軌道(LEO)の衛星が収集したデータを静止軌道(GEO)の衛星経由で地上に伝送する光データリレーサービス。「既存サービスの10倍程度の通信速度で準リアルタイムの伝送を実現するのが特徴。想定顧客である観測衛星事業者は自社サービスの性能を高められる」(米倉氏)という。

 地球周回軌道を回り続ける人工衛星は「特定の地上データを低軌道衛星で取得しようとしても90分~100分の遅延が発生する。(本サービスは)データを静止軌道衛星に転送することで(遅延を)10分~20分に短縮可能。刻一刻変化する雨雲の状況や潮の流れを的確に把握し、生命に関わる災害など、従来にない利便性や安全性を実証できる」(米倉氏)と説明した。現時点で静止軌道衛星1基の打ち上げを予定している。

光データリレーサービスのイメージ
光データリレーサービスのイメージ

無人飛行の「HAPS」でネットワークを広域化

 宇宙RAN事業は無人で飛行する高高度プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)を利用して、ネットワークの広域化を実現するサービスである。NTTドコモと欧州のAirbusは2021年11月、Airbus製HAPS「Zephyr(ゼファー)」による電波伝搬実験に成功した旨を発表しており、2022年1月にはAirbus、NTT、NTTドコモ、スカパーJSATの4社がHAPSの早期実用化に向けた覚書を締結している。

 HAPSが通信可能範囲を大幅に拡大することで、災害時の通信状況や船舶・航空機などの移動体における大容量通信環境の確保を目指す。スカパーJSATの米倉氏は「他の衛星サービスと異なるのは、普段使いのスマートフォンを端末として使えること。さまざまな利用方法で新たな市場が開拓できる」と説明した。

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