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磐田市、衛星データを活用した水道管漏水リスク管理システムを採用

2024.04.05 17:16

　JAXAベンチャーの天地人（東京都中央区）は4月5日、宇宙ビッグデータを活用した水道管漏水リスク管理システム「天地人コンパス宇宙水道局」が静岡県の磐田市環境水道部に採用されたと発表した。自治体としては5番目の採用になる。これまでに愛知県瀬戸市、青森県青森市、福島県福島市、群馬県前橋市が採用している。

　磐田市水道局では、法定耐用年数を超過した水道管を多数抱え、管路の老朽化による漏水事故の防止が課題となっているという。

　これまで、人員による音聴棒を使った漏水調査を区域ごとに実施してきたが、人手での漏水調査では、市内全域の調査に多くの時間と多額の調査費用が必要となることが想定されている。

　宇宙水道局を活用することで漏水調査期間の短縮と調査費用の削減に加え、多くの漏水箇所の特定に期待しているという。

宇宙水道局のサンプル。色のついている場所は漏水リスクの恐れのある場所を指している。漏水リスクの高低差を5段階に分けており、赤色は漏水リスクの最も高い場所を指している（出典：天地人）

　同社によると、全国各地で上水道の老朽化に起因する大規模な漏水事故が相次いで発生しているという。

　しかし、国内には全体の19.1％にあたる約14万kmの管路が法定耐久年数を超えており、現状の手法では経年管の点検や維持、修繕を実施に多額の費用を要するうえ、広域かつ短期間に完了することは困難とされている。少子高齢化、人口減少から今後の税収や職員数の減少が見込まれるため、問題は深刻さを増していると指摘される。

　宇宙水道局は、世界各国500機以上の人工衛星が観測したデータ（＝宇宙ビッグデータ）やオープンデータをもとにウェブベースの地理情報システム（GIS）「天地人コンパス」を基盤に100m×100mの範囲で漏水リスクの可能性区域を5段階で確認、管理できるクラウド型のシステム。日常的に漏水地点を登録、管理することで、AIが蓄積した漏水データをもとに漏水リスクを再評価（精度向上が期待）できるとしている。

　2022年度に実施した内閣府との実証実験や他自治体へのヒアリングを通して、同システムを活用することで点検費用を最大65％削減、調査期間を最大85％削減できると期待できるとしている。