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Space CompassとMicrosoft、衛星から船舶をリアルタイムに検知するソフトを開発
2023.12.06 11:49
Space Compassと米Microsoftは共同で軌道上衛星のコンピューティング環境で動作するソフトウェアの開発と実証で合意した。12月5日に発表された。
今回、Space CompassとMicrosoftは共同エンジニアリングチームを立ち上げ、衛星から地球上の特定の場所にいる船舶をリアルタイムに検知するアプリケーション開発に着手した。
宇宙空間向けソフトウェア開発プラットフォーム「Azure Orbital Space Software Development Kit」を活用し、軌道上の衛星に搭載されるコンピューターやセンサー、通信機器が仮想化された環境で開発からテストまでを実現することで、よりシームレスに衛星にあるコンピューターを利用できるという。
開発するアプリケーションを2024年6月に米Loft Orbital Solutionsが打ち上げる予定の小型観測衛星「YAM(Yet Another Mission)-6」のコンピューティングリソースに実装。軌道上で「スペースエッジコンピューティング」の効果を検証する。
今回の共同実証は、2019年12月にMicrosoftとNTTの間で締結されたデジタルソリューションの実現に向けた戦略的提携の一環。観測衛星が撮像した画像データの軌道上での処理を実証し、効率的かつリアルタイムな衛星データ活用の促進を目的としている。
Space Compassによると、衛星データを“空の目”として地球上を面的に情報把握する動きが広がってきており、地球を周回して撮像する観測衛星の数は急速に増えているという。
衛星データの分析を地上のクラウド基盤でリアルタイムに分析するには、観測衛星と地上のクラウド基盤をつなぐネットワーク容量、それに伴う遅延などの課題がある。
これらを解決するため、衛星データを衛星上で分散して処理する「スペースエッジコンピューティング」の必要性が高まってきているという。
軌道上でのエッジコンピューティング実証については、今回取り組んでいる船舶検知だけでなく、多くのユースケースに基づくアプリケーションの開発や実証に取り組む予定。これらの実証で得られた知見を活用し、軌道上でのエッジコンピューティング機能をサービスとして提供する考え。
高速大容量の光データリレーサービスを組み合わせることでリアルタイムかつ地上のクラウド基盤とシームレスに衛星データを活用できるソリューションの実現を目指す。
Space Compassは、日本電信電話(NTT)とスカパーJSATが設立した合弁会社。「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」の構築で持続可能な社会の実現を目指している。
宇宙統合コンピューティング・ネットワーク構想として、宇宙での大容量通信やコンピューティング基盤である宇宙データセンター、現行の移動体通信規格「5G」の先、Beyond 5Gあるいは6Gをベースに、低軌道や静止軌道の衛星、「成層圏通信プラットフォーム(High Altitude Platform Station:HAPS)」も活用した、多層型の非地上ネットワーク(Non-Terrestrial Network:NTN)の通信である宇宙RAN(Radio Access Network)の事業化、サービス化に取り組んでいる。NTTグループが進めている光や無線をベースにした次世代基幹ネットワーク構想「Innovative Optical and Wireless Network(IOWN)」などを活用してサービスの強化を目指している。
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Space Compassプレスリリース