ISS滞在中の古川聡飛行士に「推しミッション」をプレゼン--大学生の参加者募集

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ISS滞在中の古川聡飛行士に「推しミッション」をプレゼン–大学生の参加者募集

2023.09.28 13:07

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在している宇宙飛行士古川聡氏とリアルタイムに交信できるイベントを10月24日に開催する。イベントへの参加を希望する大学生と大学院生を募集中。応募締め切りは10月4日。

 古川氏は8月27日にISSに到着し、第70次長期滞在クルーの一員として約6カ月におよぶ活動を開始した。その期間中、さまざまな実験を行う予定だ。

 JAXAは、ISSと地上スタジオを通信回線で結び、古川氏と対話できるイベントを開催する。イベントの参加者は、古川氏が日本実験棟「きぼう」で実施する予定のミッション12件の中から興味のあるものを「推しミッション」として選んでプレゼンし、古川氏に熱い思いを直接語れるという。

 参加者の条件は、日本語でプレゼンできる大学生または大学院生。年齢や性別、国籍、専攻などは問わない。4人を選出する予定で、JAXAは「『宇宙』『推しミッション』への熱意」と「『古川宇宙飛行士との直接交信』への熱意」を選考基準にするとしている。場所は東京都港区赤坂。当日会場まで行けることが条件となっている。

 古川氏は、X(旧Twitter)への投稿で「宇宙に興味を持っている大学生・大学院生の皆さんと直接お話しできる機会を大変楽しみにしています。ご応募お待ちしております!」と参加を呼びかけた。

古川氏からのメッセージ(出典:古川氏のXアカウント)

 対象となるミッションは以下の通り。

  • 次世代水再生実証システム(JWRS)
    小型、低消費電力、高再生効率、メンテナンス性を向上させた次世代型水再生システムの研究開発の⼀環として、小型の実証システムを開発、きぼうで軌道上で実証している
  • 火災安全向上に向けた固体材料の燃焼現象に対する重力影響の評価(FLARE)
    1Gでは自然対流で発現し得ない低速の周囲流条件で固体材料上の持続的な火炎の燃え広がりが起こる限界酸素濃度などのデータをさまざまな材料を取得する
  • JEM船内可搬型ビデオカメラシステム実証2号機(Int-Ball2)
    地上の管制官の操作でISS内を飛び回り、写真や動画の撮影を宇宙飛行士の代わりに行うことで、宇宙飛行士の作業時間を大幅に軽減することが目的
  • 細胞重力感知のメカニズム(Cell Gravisensing)
    「核・ミトコンドリアに対する重力作用の消失が、相互作用する細胞内骨格であるストレス線維の張力に影響を与える。さらに細胞内の小器官自体の機能や形態にも作用し、下流のシグナル系を賦活させ、細胞が重力環境を感知する」という仮説を実証することが目的
  • 微小重力環境を活用した立体臓器創出技術(Space Organogenesis)
    宇宙空間での微小重力では沈降や対流などが無く、細胞を三次元的に展開させることで有利であると考えられている。環境を活用することによって、iPS細胞を用いたヒト器官原基創出法を発展させ、大血管を付与した立体臓器の創出を目指した基盤技術を開発する
  • 超小型衛星放出ミッション(J-SSOD)
    ISSのモジュールで唯一、エアロックとロボットアームの両方をあわせ持つ、きぼうの機能を活用し、ISSから超小型衛星を放出する。超小型衛星放出事業を行う民間事業者を通じた超小型衛星、国際協力に資する超小型衛星などを放出する
  • 中型曝露実験アダプタ(i-SEEP)
    きぼうの船外実験ポートに取りつけ、50㎝×70cm×35cm、200㎏以下の実験装置を複数機搭載することが可能なモジュールで、実験装置に電力や通信環境を提供できるインターフェースを備えている
  • 第4回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)
    アジア・太平洋地域宇宙機関会議(APRSAF)のKibo-ABCイニシアチブにおける多国参加型ミッションの1つで、きぼう船内のドローンロボットをプログラミングして様々な課題を解決し、将来の技術者を育成する国際競技会
  • アジアントライゼロG 2023(Asian Try Zero G)
    アジア太平洋地域での宇宙環境利用の普及を図るため、軌道上での簡易実験アイデアを日本を含むアジアの国や地域の青少年を対象に募集し、選定された実験をISS長期滞在の宇宙飛行士がきぼうで行うプログラム
  • 静電浮遊炉を使用した高精度熱物性測定(ELF)
    ISSの微小重量環境を利用し、地上では浮遊のできない(2000℃以上の)超高融点物質の熱物性計測(密度、表面張力、粘性係数)と過冷凝固による新規高機能物質を探索する
  • 高品質タンパク質結晶生成実験(JAXA PCG)
    様々な疾病や環境・エネルギー問題の解決につながるタンパク質を対象に、宇宙実験で得られた良質な結晶からタンパク質の詳細な立体構造を解析することを目指している
  • 宇宙環境が精子幹細胞へ及ぼす影響の解析(Sperm Stem Cells)
    ISSで長期凍結保管した精子幹細胞の性状や妊孕性を調べることで放射線の影響を検証する
(出典:JAXA)
(出典:JAXA)

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