月着陸を目指す「SLIM」、クリティカル運用期間を終了--月へ向かう準備を開始

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月着陸を目指す「SLIM」、クリティカル運用期間を終了–月へ向かう準備を開始

2023.09.15 17:25

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、9月7日に打ち上げた「小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon:SLIM)」の「クリティカル運用期間」終了を発表した。

 SLIMは、9月7日午前8時42分11秒に種子島宇宙センターから国産基幹ロケット「H-IIA」の47号機で打ち上げられた。軌道投入に成功し、午前9時45分にSLIMからの信号受信で太陽捕捉制御を完了。

 その後、太陽電池パネルの展開、姿勢制御系の定常運用制御モード移行なども終えた。安定して正常に機能していることが確認できたため、クリティカル運用期間を終了とした。

 今後「地球周回運用期間」へ移行する。この期間中、約20日かけて搭載機器の機能を確認しつつ、所定のタイミングで月遷移軌道に軌道を制御するための準備を進める。9月15日午後1時の時点で、現在SLIMの軌道は目標との誤差が非常に小さいため、予定していた微調整は実施しない。

月着陸を目指すSLIM(出典:SLIM公式Xアカウント)
月着陸を目指すSLIM(出典:SLIM公式Xアカウント)

 SLIMは、将来の月や惑星の探査に必要なピンポイント着陸技術を研究し、小型探査機を活用して月面で実証する計画。人類が進める重力天体探査は、従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査へと大きな転換を果たすことになると説明する。「神酒の海」の近くを着陸目標としている。

 SLIMには、JAXAやタカラトミー、ソニー、同志社大学が共同で開発した、月面を移動できる探査ロボット「Lunar Excursion Vehicle 2(LEV-2)」(愛称「SORA-Q(ソラキュー)」)が搭載されている。

 SLIMとともにH-IIAの47号機で打ち上げられた「X線分光撮像衛星(X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission:XRISM)」も正常に機能中。現在は、衛星全体とミッションに活用される搭載機器の機能を確認するための「初期機能確認運用期間」に移行しており、約3カ月かけて衛星搭載機器の機能を確認する予定だという。

SLIMと同じく順調なXRISM(出典:JAXA)
SLIMと同じく順調なXRISM(出典:JAXA)

関連リンク
JAXAプレスリリース
SLIM公式X(旧Twitter)アカウント


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