タカラトミー、月面探査変形ロボット「SORA-Q」を商品化--月面体験を家庭でも

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月面探査ロボット「SORA-Q」、タカラトミーが商品化–「宇宙兄弟」モデルも用意

2023.04.13 15:11

飯塚直

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 タカラトミーは4月13日、月面を探査する超小型変形ロボット「SORA-Q」を商品化した1/1スケールモデル「SORA-Q Flagship Model」を発表した。同日から予約を受け付け。税込希望小売価格は2万7500円。

 マンガ「宇宙兄弟」とコラボレーションしたスペシャルモデル「SORA-Q Flagship Model-宇宙兄弟 EDITION-」もあわせて用意。4月28日から予約を受け付ける。税込希望小売価格は3万3000円。どちらもタカラトミーモールで予約可能、9月2日から発売する。

宇宙兄弟 EDITION(出典:タカラトミー)
宇宙兄弟 EDITION(出典:タカラトミー)

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ソニーグループ、同志社大学と共同開発したSORA-Qは、直径約80mm、質量約250gの変形ロボット。月面の低重力環境下での超小型ロボットの探査技術の実証を目的としている。JAXAの「小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon:SLIM)」に搭載され、月に向けてロケット「H-IIA」47号機で8月以降に打ち上げられる予定

 JAXAの「宇宙探査イノベーションハブ」共同研究提案公募の枠組みの下、2016年から同社とJAXAが筐体の共同研究を開始。2019年にソニーグループが、2021年に同志社大学が加わり、4者で共同開発を進めている。

 月面に着陸後、瞬時に球体が左右に拡張変形し、月面を走行。搭載した前後2つのカメラで撮影した画像を「LEV-1」(SLIMとともに搭載され探査する小型プローブ)を経由して地球に送信する計画。

 開発には、タカラトミーのオモチャ作りで培われた小型化、軽量化の知見と、変形機構に関わる技術が活用されている。同社によると、オモチャの開発で重要な要素に「柔軟な発想」「多くの人の手に届きやすい低価格の実現」などが挙げられ、それらは「小型化」「軽量化」「シンプルな設計」につながり、宇宙事業で求められる要素と合致していると説明する。

 今回発売するSORA-Q Flagship Modelは、SORA-Qによる月面体験を家庭でも疑似体験できるように月に行く機体と同じ大きさ(直径約80mm)、同じ変形、同じ動き(バタフライ、クロール走行)を再現した1/1スケールモデル。

 専用の無料アプリを使用して操作し、月面で動くSORA-Qと同じ、変形や前後左右の操縦が楽しめる。搭載カメラを通した写真撮影が可能。拡張現実(AR)を活用してアプリ内ミッションで指令を実行するといった月面探査を疑似体験できるという。

搭載されるカメラで撮影可能(出典:タカラトミー)
搭載されるカメラで撮影可能(出典:タカラトミー)

 アプリ内ミッションの結果や撮影した画像は、探査記録としてアプリに蓄積される。JAXAなどが所有する月の画像を使用した月面探査の疑似体験を通じ、月や宇宙飛行士に関する知識を得られる仕様という。

 8月に予定されている打ち上げにあわせて、発射台がある種子島へのパッケージツアー「SORA-Q 打ち上げ応援ツアー(仮称)」が日本旅行から発売される予定。打ち上げにあわせてタカラトミーはライブビューイングも開催する予定。

 SORA-Qと同型の変形ロボットが、JAXAの月面ミッション「LAMPE」(Lunar surface data Acquisition Mission for Pressurized rover Exploration)に参加する予定。LAMPEは、民間企業の月着陸ミッションのサービスを活用して、JAXAが研究開発を進める有人与圧ローバーなどに必要な月面データを集めることが目的。

月面での想像イメージ(出典:タカラトミー)
月面での想像イメージ(出典:タカラトミー)

 今回の発売は、宇宙探査イノベーションハブの成果のひとつである「地上での事業化」を実現。発売にあたっては、宇宙航空の魅力を地上の生活へ届けるための新たなブランド「JAXA LABEL COLLAB」付与商品として発売される。

 「JAXA LABEL COLLAB」は、JAXAと企業の共同研究から生まれた製品、コラボレーションから生まれた製品などに対し、ブランドとなるロゴマークを付与する制度となっている。

9月2日から発売される(出典:タカラトミー)
9月2日から発売される(出典:タカラトミー)

 2024年に創業100年を迎えるタカラトミーは創業以来、守り続けてきたというオモチャ作りの原点である安心、安全な品質と細部にまでこだわる職人魂、柔軟な発想力、子どもたちを笑顔にしたいという強い想いが、SORA-Qを通じて宇宙探査に生かされることで、子どもたちがこれまで以上に自然科学領域に興味を持ち、宇宙の面白さを知ってもらうきっかけとなってくれることを願っているという。

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