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「H-IIA」ロケット47号機、打ち上げ成功–日本初の月面着陸へ「SLIM」無事軌道投入(更新)

2023.09.07 09:12

小口貴宏(編集部)

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業は9月7日午前8時42分、国産基幹ロケット「H-IIA」47号機を種子島宇宙センターから打ち上げた。打ち上げは成功し、「X線分光撮像衛星(XRISM)」「小型月着陸実証機(SLIM)」を軌道に投入した。

順調に打ち上がるH-IIAロケット47号機
打ち上げ約15分後の様子

 H-IIA 47号機を巡っては、3月に打ち上げに失敗した「H3」試験機1号機(H3ロケット)と共通の部品が多く、打ち上げが延期されていた。特に、H3ロケットは第2段エンジンが点火せず指令破壊された経緯があり、H-IIA 47号機についても、共通するリスク要因への対策が実施されていた。

 H-IIA 47号機の搭載ペイロードの1つであるSLIM(スリム)は、日本初の月面着陸をめざす実証機だ。着陸に成功すれば米国、旧ソ連、中国、インドに続き5カ国目となる。

 SLIMがユニークな点は、従来の「降りやすいところに降りる」ではなく「降りたいところに降りる」探査の実現を目指している点だ。着陸地点の誤差が「100m以内」というピンポイント着陸技術を実証する計画で、成功すれば従来の月惑星着陸(誤差数km〜数十km)から精度が大きく向上する。

 一方のXRISM(クリズム)はX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の後継となるX線分光撮像衛星だ。銀河を吹き渡る風である「高温プラズマ」のX線精密分光撮像を通じて、物質やエネルギーの流転を調べ、天体の進化を解明するのが目的。JAXAの宇宙科学研究所(ISAS)にとって7番目のX線天文衛星計画となる。

(更新完了:打ち上げ成功の旨を追記)

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