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Space quarters、NEDO「SBIR」採択–宇宙で大型構造物を電子ビームで溶接
2023.08.18 17:16
Space quarters(東京都渋谷区)は、同社の電子ビームで溶接する技術を活用した宇宙空間向け建築技術が新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究開発型スタートアップ支援事業「SBIR推進プログラム」(一気通貫型)に採択されたと発表した。
SBIR(Small Business Innovation Research)は、中小企業やスタートアップ企業を補助金などで支援する制度。国内では「中小企業等経営強化法」に基づく制度として、社会課題の解決に貢献する研究開発型スタートアップの研究開発を促進、社会実装させるため、1999年から展開されてきた。
NEDOのSBIR推進プログラムは、内閣府が司令塔となって、省庁横断的に展開。関係府省庁などが実施する研究開発課題や研究開発フェイズは、年度ごとに内閣府ガバニングボードで決定する。
実現可能性調査や概念実証といった研究開発の初期段階をフェイズ1、実用化開発支援をフェイズ2として、各フェイズをSBIR推進プログラム内で実施する「一気通貫型」、関係する府省庁などで実施する指定補助金などに接続する「連結型」で実施する。
Space quartersは、同プログラムの対象事業として「大型宇宙構造体の建設サービス提供に向けたモビリティ型電子ビーム溶接システムの開発」を提案。電子ビームで溶接して、宇宙ステーションのモジュールや大型アンテナなどの大型構造物を宇宙空間で建設するという。
SBIR推進プログラムに採択されたことで、パラボラアンテナ、ステーションモジュールの外壁、月面の流体貯蔵や基地防護壁の宇宙構造物を施工する、モビリティ型電子ビーム溶接システムの研究開発に取り組む。活動には、東北大学の槙原幹十朗氏(宇宙構造物工学、教授)と宇野健太朗氏(宇宙ロボティクス、助教)、大阪公立大学の小木曽望氏(航空宇宙システム工学、教授)も参加する。
Space quartersの同技術は、内閣府主催の宇宙活用ビジネスアイデアコンテスト「S-booster 2022」で「スカパーJSAT賞」を受賞している。フランス国立宇宙センター(Centre national d’études spatiales:CNES)からの研究プロジェクトも受託した。