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Space BD、ISSきぼうでの「タンパク構造解析サービス」の試料輸送が完了

2022.12.22 15:54

飯塚直

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 Space BD(東京都中央区)は12月21日、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」を活用したライフサイエンス事業で国内外の企業や研究機関からの試料(サンプル)のISSへの輸送が完了したと発表した。

 同社は、きぼうの船内実験設備を活用し、微小重力空間の特性を生かした高品質なタンパク質結晶の生成技術を使用するライフサイエンス事業「タンパク構造解析サービス」を展開している。

 同サービスでは、創薬研究で重要となる、ターゲットとなるタンパク質構造情報の決定と化合物などとの相互作用の検証を支援。通常の新薬開発プロセスでは、膨大な時間を要す候補化合物を選定する際に高品質なタンパク質の構造情報を基づいて実験をすることで、リードタイムを大幅に短縮し、コストが削減できるという。

タンパク構造解析サービスの流れ(出典:Space BD)
タンパク構造解析サービスの流れ(出典:Space BD)

 2021年5月のサービス開始から2022年12月現在までに、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のアカデミア公募案件など合計200以上(うちSpaceBD民間案件22を含む)のサンプル打ち上げを支援してきた。

 輸送が完了したサンプルは、米航空宇宙局(NASA)による商業補給サービス(Commercial Resupply Services:CRS)の26回目(CRS-26)の一部として、Space Exploration Technologies(SpaceX)の補給船「Crew Dragon」に搭載。日本時間11月27日午前4時20分に米国フロリダ州のケネディ宇宙センターから打ち上げられた。

 JAXAと丸和栄養食品とのパートナーシップのもと、地上での結晶化条件探索、宇宙実験の適合性審査、サンプルの充填作業などをリードしており、打ち上げに至ったという。打ち上げられたサンプルは、すでに結晶生成実験が開始されており、2023年1月中旬頃に地上へ帰還する予定。

ケネディ宇宙センターでCRS-26に搭載するサンプルの充填作業をする様子、奥はSpace BD社員(出典:Space BD)
ケネディ宇宙センターでCRS-26に搭載するサンプルの充填作業をする様子、奥はSpace BD社員(出典:Space BD)

 CRS-26では、チャネルパートナーである台湾のHeliox(台湾)、ブラジルのAirvantisとの連携を通じた、台湾やブラジルのユーザーを含む国内外のユーザー計4社のサンプルも打ち上げているという。

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