これからの宇宙探査には非宇宙企業の知見が必要--JAXAが参加を呼び掛け

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これからの宇宙探査には非宇宙企業の知見が必要–JAXAが参加を呼び掛け

2023.09.05 08:00

阿久津良和田中好伸(編集部)

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 コンピューターネットワークの新技術や製品の展示会である「Interop Tokyo」は2023年で30年を迎えた。6月14~16日に開催された「Interop Tokyo 2023」では、30回目を記念した特別企画として「Internet × Space Summit」が開催された。そこでは、宇宙探査や宇宙の活用方法などについて多くが語られた。

 「JAXAと企業・大学等が実現する宇宙探査に向けたオープンイノベーション研究」と題された講演には、宇宙航空研究開発機構(JAXA) 宇宙探査イノベーションハブ 主事 山口大成氏が登壇した。

JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 主事 山口大成氏
JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 主事 山口大成氏

建築や自動車など異業界の知見が欠かせない

 宇宙ビジネスに向けた開発や検証が加速的に進んでいる。

 山口氏は2030年代の月面イメージをスライドに映し出し、「宇宙探査プログラムを繰り広げるには、我々だけではなく、多くの民間企業や研究機関、大学の参画が重要だと考えている。月面の建造物を構築するには建築業界の知見、月面移動は自動車業界の知見が欠かせない。このように多くの産業が持つ知見をそのまま月面に持ち込んだ形」と概要を説明した。

JAXAによる2030年代の月面活動イメージ
JAXAによる2030年代の月面活動イメージ

 山口氏が所属する宇宙探査イノベーションハブは、さまざまな異分野の人材や知識を集めた組織を構築し、これまでにない新しい体制や取り組みで宇宙探査の展開や定着を目指す組織という。

 宇宙探査イノベーションハブは、2030年以降の本格的な月面活動を実現する技術とのギャップ解消を重要視し、さらなる探査に必要な新技術や新しいミッションの概念創出に注力してきた。

 「参画する232企業・組織の9割は非宇宙企業や大学。クロスアポイントメントという人材交流制度で、企業の事業化が有利に働く仕組みを設けています」(山口氏)

 このように宇宙は未知の世界から産業を生み出す場、生活の場に変化していくための組織であると説明。中でも必須だと強調したのは、超遠距離を想定した高速かつ低リソースの通信系技術。他稿でも通信環境の構築に注力する取り組みを紹介したが、宇宙探査イノベーションハブは月や火星を踏まえた移動や探査を実現する技術、自律した探査とエコシステムの実現、同じく自律性の高い有人宇宙活動や長期滞在の実現に注力している。

他業種を必要とする月面活動
他業種を必要とする月面活動

 宇宙探査イノベーションハブが手掛けた取り組みの一つが「月面における電波の届く範囲の把握に向けた大地反射特性の取得」。

 KDDI総合研究所とJAXAがともに月面における車両や宇宙飛行士の無線通信環境を維持するため、2.4、5.6、8、25GHz帯での月面の電波反射特性を“月の砂(レゴリス)”の模造品で実測。得られた反射係数と月面の地形データを活用した計算機シミュレーションで電波範囲を把握した。

KDDI総合研究所との取り組み
KDDI総合研究所との取り組み

 最後に山口氏は「研究提案募集のRFI(情報提供依頼書)は通年で募集しています。課題解決型、アイデア型、チャレンジ型と3つの研究枠を設けて、継続的かつ段階的にレベルを高める制度を用意し、提供してきました。JAXAの枠組みにご参加いただいて宇宙探査を盛り上げましょう」と宇宙探査イノベーションハブへの参画を促した。

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