ニュース

ispaceだけじゃない–民間企業の月への挑戦を振り返る

• #Peregrine
• #IM-4
• #Athena
• #VENTURE MOON
• #RESILIENCE
• #Griffin
• #IM-3
• #IM-2
• #Nova-C
• #IM-1
• #Astrobotic Technology
• #Intuitive Machines
• #Firefly Aerospace
• #CLPS
• #Blue Ghost
• #HAKUTO-R
• #ispace

　ispace（東京都中央区）の着陸船（ランダー）「RESILIENCE」（レジリエンス）が日本時間6月6日午前4時17分に月に着陸する予定だ。

　民間企業による月への挑戦は同社も含めて4社と1つの団体、回数は7回。

　1回目がイスラエルの民間団体SpaceIL。2019年2月にランダー「Beresheet」（ベレシート）を打ち上げた。4月に月周回軌道に投入されたが、エンジントラブルで月面に衝突。着陸には至らなかった。

　2回目がispace。同社の民間月探査計画「HAKUTO-R」のミッション1は22年12月12日に打ち上げ。23年4月26日にランダーは月着陸の寸前で失敗（燃料不足でランダーは墜落してしまった）。

　3回目は米Astrobotic Technology（アストロボティック・テクノロジー）のミッション「Peregrine Mission One（PM-1）」。ランダー「Peregrine（ペレグリン）」は米国時間24年1月8日に打ち上げられ、打ち上げ翌日の1月9日に推進剤の漏洩から月到達を断念した。

　4回目は米Intuitive Machines（インテュイティブ・マシーンズ）のミッション「Intuitive Machines 1（IM-1）」。24年2月15日にランダー「Odysseus（オデュッセウス）」が打ち上げられた。24年2月23日にOdysseusは月に着陸。世界初の民間企業による月着陸の称号はIntuitive Machinesが獲得した。

　5回目は同じくIntuitive Machinesのミッション「Intuitive Machines 2（IM-2）」。ランダー「Athena（アテナ）」は25年2月6日に打ち上げ。Athenaは25年3月10日に月着陸に成功するも、横転したことで太陽電池パネルの向きが事前の想定とは異なり、十分に電源を確保できなかったために、着陸後数時間でミッションの終了を宣言している。

　6回目は米Firefly Aerospace（ファイアフライ・エアロスペース）のミッション「Blue Ghost Mission 1」（同社は「Ghost Riders in the Sky」と呼んでいる）。ランダー「Blue Ghost（ブルーゴースト）」は25年1月15日に打ち上げられ、3月2日に月に着陸した。

　そして7回目がHAKUTO-Rのミッション2である「SMBC×HAKUTO-R VENTURE MOON」。RESILIENCEはBlue Ghostと同じロケットでライドシェア（相乗り）で打ち上げられた。

　これまでの7回のうち3回成功したことになる。しかし、Intuitive MachinesのOdysseusとAthenaは確かに月に着陸したが、一部では成功とは言い切れないとする見方もある。Odysseusは、着陸脚の1本か2本が折れていたために横転した状態となっていた。Athenaもやはり横転して着陸。電力を確保できず、着陸後数時間でミッションは終了となった。

　そうした観点で見ると、ミッションの目的を果たした、完全な成功と言えるのは、FireflyのBlue Ghostだけである。

　ここに挙げたispace以外の米企業3社は、米航空宇宙局（NASA）が貨物（ペイロード）の月への輸送を民間企業に有償で委託する「商業月面輸送サービス（CLPS）」としてランダーを月に飛ばした。ランダーの開発や製造、打ち上げなどを含めて政府機関であるNASAからの資金で運用されている。SpaceILもイスラエルの宇宙機関からの資金援助があった（その意味では、ispaceは株式上場も含めて、純粋な民間の資金で月までランダーを飛ばしたとも言える）。

　民間企業による月への挑戦は今後も続く。

　CLPSとして打ち上げが予定されているのは、Astroboticの「Griffin Mission-1」（ランダーは「Griffin」）、Fireflyの「Blue Ghost Mission 2」（ランダーはBlue Ghost）、Intuitive Machinesの「IM-3」「IM-4」（ランダーはOdysseusやAthenaと同じ型のNova-C級）。これに、ispaceの米法人が参加するTeam Draperによるミッションが加わる（打ち上げは2026年が予定されていたが、2027年以降に延期となった）。