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アストロスケール、衛星の「給油口接続システム」を本田技術研究所と共同研究
2025.06.02 08:30
アストロスケール(東京都墨田区)は「軌道上サービス」の一つである衛星への燃料補給に向けて、衛星の給油口接続システムをホンダの研究開発子会社である本田技術研究所(Honda、埼玉県和光市)と共同で研究する。5月30日に発表した。
Hondaは輸送用機器の開発やロボティクスの分野で数多くの知見があると説明し、同社が給油口接続システムを開発する。アストロスケールはHondaと共同で給油口接続システムの開発に携わるとともに、これまで獲得してきたランデブー・近傍運用・ドッキング(Rendezvous Proximity Operations and Docking:RPOD)技術と宇宙機開発の実績を土台に、地球低軌道(LEO)での化学燃料補給実証に結び付けていく。
2029年頃の実証を見込んでいる。今回の給油口接続システムは、アストロスケールが採択されたプロジェクトで使用される。
地球周回軌道では、運用される衛星が増えると同時に、運用が終了した衛星が宇宙ゴミ(スペースデブリ)も増えている。この問題を放置すれば、地球周回軌道は利用できなくなると懸念されている。
問題を解決し、宇宙の持続可能性(スペースサステナビリティ)を実現するには、使い捨てを前提にした衛星やロケットの開発から脱却して、「Reduce(削減)、Reuse(再利用)、Repair(修理)、Refuel(燃料補給)、Remove(除去)」を宇宙で実現することが重要とされている。その解決策として期待されているのが軌道上サービスになる。
軌道上サービスの一つである燃料補給サービスは、衛星の運用者にとっては衛星の寿命を延長することで衛星の数や打ち上げの回数を低減することにつながる。燃料という制約がなくなれば、衛星の運用の範囲や柔軟性を拡大させて、衛星の新しい使い方が可能になると期待されている。