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宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは–放置するとどうなる?発生原因や除去に挑む日本企業など解説

2024.02.26 14:00

小口貴宏(編集部)塚本直樹

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 人類の活動が宇宙へと拡大する中で、対処しなければならない課題が「宇宙ゴミ」(スペースデブリ)だ。宇宙ゴミが連鎖反応的に増えてしまった場合の経済活動への影響や、宇宙ゴミを減らす方法、そして宇宙ゴミ削減に取り組む日本企業について紹介する。

(更新:2024 /07/03)アストロスケールが上場した旨を追記。

宇宙ゴミの恐ろしさとは

 宇宙ゴミ(スペースデブリ)とは、軌道上にある不要な人工物体のことだ。

提供:NASA

 その恐ろしさは速度にある。地球低軌道では秒速7〜8kmで軌道を周回している。これは、約90分で地球を1周するスピードで、ひとたび衝突すれば膨大なエネルギーが解放される。これらはすでに飛行している人工衛星や宇宙船、船外活動中の宇宙飛行士への脅威となる。

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、宇宙ゴミの数は地上から追跡されている10cm以上の物体で約2万個、1cm以上は50~70万個、1mm以上は1億個を超えるとされる。これが増加すれば将来の宇宙活動の妨げになる恐れがある。

関連リンク:JAXA

宇宙ゴミはどうやって生じる?衛星破壊実験の例も

 宇宙ゴミの発生源としては、人工衛星やロケットの残骸、ミッション中に放出した部品、爆発・衝突し発生した破片などがある。2008年には、スペースシャトル・エンデバーの船外活動ミッションにおいて、飛行士が工具箱をうっかり紛失してしまったが、これもスペースデブリとなって今も軌道を猛スピードで周回し続けている。

 意図的に宇宙ゴミが生み出された事例もある。ロシアが2021年11月に実施した衛星破壊実験「DA-ASAT(Direct-Ascent Anti-Satellite)」では、数多くの宇宙ゴミが軌道上に発生。国際宇宙ステーション(ISS)が回避行動を取るなどの騒動となり、国際的な避難を浴びた。

イベントでデブリは急激に増加する(出典:スカパーJSAT、Orbital Lasers)

宇宙ゴミを放置するとどうなるの?

 宇宙ゴミを放置すると。宇宙ゴミ同士が衝突してその破片が新たな宇宙ゴミとなる。これは「ケスラーシンドローム」として知られており、一つの衝突が大量の追加ゴミを生み出し、それが更に多くの衛星に衝突する… という形で指数関数的に宇宙ごみが増加する可能性がある。

(出典:Hugh Lewis/University of Southampton)

 日々の経済活動は、スマートフォンの地図、船舶や航空機のナビゲーションシステム、気象衛星をはじめ、衛星からの恩恵を受けている。宇宙ゴミが連鎖反応的に増えれば、これらの分野での衛星機能の低下や中断をまねき、社会的の機能不全を引き起こす可能性がある。

宇宙ゴミに対する対処法

 宇宙ゴミへの対策として重要なのは、第一に新たな発生を抑えることだ。近年は衛星の運用終了後、大気圏への再突入機構の搭載を義務付ける「デオービット」のルールづくりが進んでいる。また、宇宙ゴミとの衝突を回避するために、宇宙ゴミの軌道を正確に把握する「宇宙情報把握」(Space Situational Awareness:SSA)の取り組みも始まっている。

ロボットアームや磁力

 生じてしまった宇宙ゴミに対しては、さまざまな対処方法が検討されている。1つ目は、ロボットアームや磁力などの「宇宙ゴミ除去機構」を備える宇宙船を近くに飛ばして直接除去する「デブリ捕獲・除去技術」だ。また、故障したり燃料切れとなった衛星に、軌道上で燃料補給や修理をしたり、宇宙ゴミ自体を資源として捉え、リサイクルする研究もある。

レーザー照射

 より安価な方法としては、宇宙ゴミにレーザーを当てる方法も検討されている。物体にレーザーを当てると表面がプラズマ化し、表面から物質が放出される。そうした物質の放出を推進力として宇宙ゴミの軌道を変更し、安全な軌道への誘導、あるいは大気圏への再突入を図るというものだ。

 また、宇宙ゴミを物理的に捕獲する際の障壁となる「宇宙ゴミの複雑な回転」をレーザーを使って止めて、捕獲しやすくする研究も進んでいる。

関連リンクスカパーJSAT

日本で宇宙ゴミに対処する企業とは

アストロスケール

 日本で宇宙ゴミに対処している企業の1つが、アストロスケール(東京・江東区)だ。2024年6月には東証グロース市場へ上場を果たしたことでも話題となった。

同社はJAXAの商業デブリ除去実証や、米宇宙軍の燃料補給衛星・デブリ除去プログラム「COSMIC」を手掛けている

 同社は、宇宙ゴミ除去機構を備えた宇宙船をデブリの近くに向かわせ、直接デブリを捕獲して処分することを目指している。

アストロスケールの実証衛星

 具体的には、これから打ち上げる衛星にあらかじめ金属製の「ドッキングプレート」を取り付ける。そして、衛星を除去するサービサーが磁力で衛星を捕獲できるようにする。さらに、故障したり燃料切れとなった衛星に対して、軌道上で燃料補給や修理サービスの提供も目指している。同社のドッキングプレードは、地球低軌道ブロードバンドのOneWebが採用を表明している。

 2024年2月18日には、日本由来の巨大宇宙ゴミ「H-IIA上段」に接近観測し、将来のデブリ捕獲に向けたデータを収集する実証衛星「ADRAS-J」の打ち上げにも成功した。2024年末〜2025年には実際にデブリ除去を実証する衛星「ELSA-M」の打ち上げも目指している。

Orbital Lasers

 スカパーJSATはレーザーで宇宙ゴミに対処する新会社「Orbital Lasers」を立ち上げた。前述の通り、デブリにレーザーを当てた際に放出される表面物質の反動によって、デブリの軌道を変えたり回転を止めて、デブリを無害化することを目指している。

関連リンク:アストロスケールOrbital Lasers

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