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中国スタートアップのInfinAstro、「軌道間輸送機」開発で初期資金の調達に成功
中国スタートアップのInfinAstro(インフィンアストロ)は軌道間輸送機(Orbital Transfer Vehicle:OTV)の開発で初期資金の調達に成功したと3月24日に発表した。
現在のロケットは、ライドシェア(相乗り)で衛星を打ち上げることが多くなっているが、搭載される衛星は投入される軌道が異なることもあり得る。そこで、OTVは、ロケットから分離された後に衛星などを目的の軌道まで運ぶことが使命の宇宙機(「ラストワンマイル」輸送を果たすとも言われる)。
InfinAstroが開発中のOTV「Space Bus(スペースバス)」は、複数の衛星を異なる軌道に展開できるという。対応高度は200〜3万6000kmで、打ち上げコストを最大66%削減し、軌道投入時間を約85%短縮できるとしている。4月1日には、第1世代の「Space Bus IH-1」のエンジン燃焼試験が成功したことを発表している。
「北京無限航天科技(Beijing Infinity Aerospace Technology)」が正式名称であるInfinAstroは、数千万元規模のエンジェルラウンドで資金を調達。リード投資家はUnity Venturesで、フォロー投資家は北京を拠点とするベンチャーキャピタルのInnoAngel Fundだ。
今回の資金は、Space Busシリーズの研究開発と中国での軌道上サービスの商業化の加速にあてるという。同社創業者で最高経営責任者(CEO)の李建(Li Jian)氏は「Space Bus Type Iの開発と、初飛行モデルの製造を加速する」と述べている。
OTVは、仏Exotrailや米Intuitive Machinesが開発。日本でも三菱重工などが研究を進めている。Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)の創業メンバーであるTom Mueller氏が創業したImpulse SpaceもOTVの開発を進めている。米Blue Originが開発している「Blue Ring」もOTVだ。
