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発泡スチロール並みに軽いカーボンナノチューブ電磁波遮蔽材料–パナソニックなど

2022.08.26 14:15

佐藤信彦

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 パナソニック インダストリーは、軽量でさまざまな形状への成型が可能な、カーボンナノチューブなどによる新たな電磁波遮蔽材料開発した。単位体積あたりの重量は、発泡スチロールと同程度で、電磁波遮蔽材料としてよく使われるアルミニウムに比べ270分の1しかないという。2024年の実用化を目指す。

発泡スチロール並みに軽い電磁波遮蔽材料(出典:パナソニック インダストリーなど)

 新材料は、名古屋大学や山形大学、秋田大学と共同で開発した。人工衛星で必要とされる、電磁波を遮蔽、吸収する超軽量な材料の開発を目的とした、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の「JAXA宇宙探査イノベーションハブ」採択プロジェクトである。

 パナソニック インダストリーらは、カーボンナノチューブを用いた材料と熱硬化性樹脂を組み合わせて、極めて軽い電磁波遮蔽材料を実現。一般的な電磁波遮蔽材料の中でも軽量なアルミニウムに比べケタ違いに軽いうえ、電磁波を遮蔽するだけで吸収しないアルミニウムと異なり、吸収も可能としている。

アルミニウムと違って吸収も可能(出典:パナソニック インダストリーなど)

 電磁波遮蔽性能は、5GHzから110GHzで30dB(透過する電磁波の電力を1000分の1に低減する値)を上回る。アルミニウムの場合、遮蔽する電磁波の周波数帯域は選択できない。新材料は、材料の組成を変えるて調整可能で、今後の研究で制御方法を検討していく。

電磁波遮断の周波数特性(出典:パナソニック インダストリーなど)

 フリーズドライ製法で多種多様な立体構造へ加工でき、採用する機器の形状に応じた電磁波遮蔽パーツを作れる。軽さが重要な人工衛星や宇宙探査機のほか、垂直離着陸可能な航空機(eVTOL)やドローン、5G/6Gの基地局、ロボット、車載機器など、さまざまな機器の軽量化に貢献するという。

さまざまな形に加工できる(出典:パナソニック インダストリーなど)
用途は多彩(出典:パナソニック インダストリーなど)

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