ニュース

ロサンゼルス山火事でNASA「深宇宙通信網」管制室が無人に–1963年開設以来初めて

2025.01.15 15:37

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 米カリフォルニア州ロサンゼルス周辺で発生した山火事で米航空宇宙局(NASA)のジェット推進研究所(JPL)に所属する“深宇宙通信網”「Deep Space Network(DSN)」の管制室が1963年の開設以来初めて無人となった。

 DSNは米国、豪州、スペインに設置された3つの大型アンテナを利用し、NASAの宇宙ミッションとのデータ通信やテレメトリーを継続的に送受信している。火星の探査車が着陸後に地球へと送る信号も、このネットワークを通じて届く。DSNの運用管理はロサンゼルス郡パサデナにあるJPLの管制室が担っている。

 NASAによれば、このような状況の中でも、DSNのチームはNASAの探査機や探査車などとの通信を維持し、それぞれが太陽系で進行中のミッションを継続できるように尽力しているという。

 海外メディアのSpace.comによれば、米国時間1月13日に開かれたイベントに登壇した、NASA 科学ミッション本部 副本部長を務めるNicola Fox氏は「DSNのチームは素晴らしい努力を重ね、一つのデータも失われることがなかった」と述べている。

(Laurie Leshin氏Xアカウント)

 「JPLは消防隊の献身的な努力により、火災の被害を免れた」と、JPL所長のLaurie Leshin氏はX(旧Twitter)に投稿。「しかし、150人以上のJPL職員が家を失い、さらに多くの人々が避難を余儀なくされている」。Leshin氏は被災したJPL職員を支援する「Caltech and JPL Disaster Relief Fund」での支援を呼び掛けている。

ノースパサデナとアルタデナで発生したイートン火災の範囲を示すMaxarの衛星画像(出典:Caltech and JPL Disaster Relief Fund)
ノースパサデナとアルタデナで発生したイートン火災の範囲を示すMaxarの衛星画像(出典:Caltech and JPL Disaster Relief Fund)

関連情報
Laurie Leshin氏X(旧Twitter)アカウント投稿
Caltech and JPL Disaster Relief Fund
Space.com

Related Articles