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近くの店に“宇宙発”の商品–新ブランド「JAXA LABEL」に込められた熱い思い
2022.08.18 08:00
課題の一つはカテゴリ分け。「COSMODEではJAXAとの共同研究により開発した商品も、JAXAの画像を使った商品も同じロゴマークをつけていました。そもそもCOSMODEとは何か、JAXAとどういう関わりがある商品につけているのか、イマイチわかりにくいという声があった」と吉原氏。
JAXAと企業との関わり方にはいろいろある。
JAXAの成果(特許、実用新案)などを活用したもの(先に紹介したGAINAなど)、JAXAとの共同研究から生まれたもの(消臭アンダーウェアなど)、JAXAの画像などを使ったグッズ(マグカップや「はやぶさ2」の模型など)。
JAXAとどのような関わりを持って生まれた商品なのか、どのような成果を使っている商品なのかなどが、商品を手にとった方からも分かりやすいようにしたいという思いがあった。
そこでJAXA LABELでは3つのカテゴリを設けた。TECH(特許、実用新案、論文などのJAXA成果の活用)、COLLAB(共同研究、宇宙日本食認証制度、J-SPARCなど)。そしてDESIGN(画像、映像などの著作権活用など)。ロゴマークも3種類のバージョンを準備。
もう一つの課題が認知不足の解消だ。「今までは申請があったものに対して許諾するという、いわば事務的な手続きに留まってしまっていた。でも、今後はJAXA LABELの商品をJAXAからも積極的に紹介し、よりJAXA LABELの存在を知ってもらい、もっと使ってもらえるような活動をしていきたい」
今までが「守り」だったとしたら「攻めて」いきたい。具体的には企業とのコラボや毎年「JAXA LABELアワード」を授与し、ブランドの認知向上を図ることも検討中だという。イメージするのは、グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会主催)だ。
かっこいいブランドにしたかった
「宇宙関係の漫画や映画などに影響を受けた、割とミーハーな学生だった」と振り返る。祖母の家が歴代の固体ロケットを打ち上げてきたJAXA内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)近くにあって、見学に行ったのが宇宙に興味を持つ原体験だ。
JAXAに入って「宇宙って意外と近いと感じた。夢物語でなく、宇宙を身近に感じてもらえるような活動ができれば」という思いからJAXA LABEL立ち上げに心血を注いだ。
実は今のロゴマークについて「よく知らない」と言われたことが一番のモチベーションだという。「もっとかっこいいブランドにしたかった。ロゴを付けていたら『あ、JAXA LABELじゃん!』って言われるような」
「自分が行くスーパーとか百貨店とか、身近なところにJAXA LABELの商品が並んで、宇宙に興味がない人も日常の中で手に取ってもらえるようにしたい」。目標は、ロゴの数を現状の倍にすることだ。
「宇宙は特別なところ」「JAXAは敷居が高い」――。そんなイメージをJAXAの新事業促進部では変えようとしている。部員たちは「民間企業に寄り添い過ぎと言われるぐらい寄り添うように」という思いで業務に臨んでいるという。「産業振興や宇宙利用拡大の一つのカードとしてJAXA LABELを広げていきたい」。吉原氏はそう願っている。