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スペースX、欧州の小惑星探査機「ヘラ」を打ち上げ–地球防衛に一役
Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)は米国時間10月7日、欧州宇宙機関(ESA)の小惑星探査機「Hera」(ヘラ)を打ち上げた。米フロリダ州のケープカナベラル宇宙軍基地からSpaceXの「Falcon 9」(ファルコン9)ロケットで打ち上げられた。
Heraのミッションは、2022年9月に進められた米航空宇宙局(NASA)による二重小惑星進路変更実験「DART」(ダート)の対象となった小惑星「Didymos」(ディディモス)とDidymosを周回する小惑星「Dimorphos」(ディモルフォス、Didymosの衛星がDimorphos)を探査する。
DART(Double Asteroid Redirection Test)は、Dimorphosに探査機を衝突。衝突によりDimorphosの軌道周期は33分短縮され、実験は成功した。小惑星の軌道を変更して地球から遠ざけられるとの研究結果も明らかになっている。
HeraはDARTの結果を追跡し、その効果を確認する予定だ。具体的には、DARTの衝突でできたクレーターの大きさはどの程度なのか、小惑星全体が形を変えたのか、Dimorphosの構造や正確な質量はどうなのかなどを調べる。
Heraは「Milani」「Juventas」という2機のキューブサットをともない、2026年後半にDimorphosに到着する予定。
Dimorphosに到着する前の2025年には火星をスイングバイして速度を高める。火星でのスイングバイでは観測機器を展開、試験する予定。観測機器の精度を高める意味も込めて、サイドクエストとして火星の衛星「Deimos」も探査する。
DARTとHeraは、小惑星衝突から地球を守るための“惑星防衛(プラネタリーディフェンス)”を国際共同で進める「Asteroid Impact and Deflection Assessment(AIDA)」計画の一環。日本の宇宙科学研究所(ISAS)はHeraに搭載される熱赤外線カメラを開発している。