欧州の小惑星探査機「ヘラ」、サイドクエストで火星の衛星「ダイモス」を調査

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欧州の小惑星探査機「ヘラ」、サイドクエストで火星の衛星「ダイモス」を調査

2024.05.02 18:30

塚本直樹

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 欧州宇宙機関(ESA)が主導する二重小惑星探査機「Hera」は、小惑星軌道変更の影響を観測する前に、サイドクエストとして火星の衛星「ダイモス」に立ち寄る。

 2024年10月に打ち上げられるHeraは、米航空宇宙局(NASA)の衛星を意図的に衝突させて小惑星の軌道を変更させるミッション「Double Asteroid Redirection Test」(DART)の影響の観測を予定している。DARTは2022年9月に、小惑星「ディディモス」の衛星である小惑星「ディモルフォス」に衝突して、軌道の変更に成功した

 Heraは、ディディモスとディモルフォスに向かう2年の間に科学機器をテストする予定だ。2025年3月に同探査機はDeimosの約1000km以内に接近する。Heraはメインカメラや「HyperScout-H」カメラ、熱赤外線カメラなどでダイモスを観測する予定だ。

 ESAでHeraプロジェクトに携わる科学者のMichael Kueppers氏は、「(ダイモスの観測により)機器を校正する新たな機会が得られ、また科学的発見ができる可能性もある」と述べている。

 DARTとHeraは、小惑星衝突から地球を守るための“惑星防衛(プラネタリーディフェンス)”を国際共同で進める「Asteroid Impact and Deflection Assessment(AIDA)」計画として進められている。日本の宇宙科学研究所(ISAS)はHeraに搭載される熱赤外線カメラを開発している。

Heraは火星をスイングバイする(出典:ESA-Science Office)
Heraは火星をスイングバイする(出典:ESA-Science Office)

関連情報
ESA発表
ISAS Hera説明

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