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「DART」ミッション、小惑星の軌道変更に成功–地球への衝突を防ぐ技術に道筋

2022.10.13 17:00

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)は、探査機を意図的に衝突させて小惑星の軌道変更を試みるミッション「Double Asteroid Redirection Test(DART)」を実施し、小惑星の軌道を変えることに成功したと発表した。

 小惑星のなかには、地球に落下して壊滅的な被害を引き起こす可能性のあるものが存在する。地球と衝突するおそれのある小惑星については、人為的に軌道を変えて衝突を未然に防ぐ技術「Kinetic Impact Technology」が有効かどうか検討されている。DARTは、この技術を検証する実験ミッションだ。

探査機をDimorphosへ衝突させる(出典:NASA)

 2021年11月に打ち上げられたDARTの探査機は、小惑星「Didymos(ディディモス)」とその周囲を回る「Dimorphos(ディモルフォス)」に接近。そして、2022年9月26日にDimorphosへの衝突を成功させた。

 衝突から約2週間の観測データを解析したところ、Didymosに対するDimorphosの公転周期が、衝突前の11時間55分から32分短くなり、11時間23分になっていた。NASAは、変化が73秒以上なら成功と考えており、それを大きく上回る成果が得られたことになる。

ハッブル宇宙望遠鏡で捉えた衝突から約1週間後のようす。デブリが噴出している(出典:NASA)
衝突の瞬間(出典:NASA公式Twitterアカウント)

 なお、人類が天体の動きを変えることに成功したのは、これが史上初めてという。


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