ispace米法人、社内に管制室を開設--12月にも打ち上げのミッション2を支援

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ispace米法人、社内に管制室を開設–12月にも打ち上げのミッション2を支援

2024.09.26 17:30

UchuBizスタッフ

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 ispace(東京都中央区)の米法人ispace technologies U.S.(ispace US)が米コロラド州デンバーの本社に管制室となるサミット・ミッション・コントロール・センター(サミットMCC)を開設した。ispaceが9月25日に発表した。

 ispaceは民間月探査プログラム「HAKUTO-R」を進めている。日本本社が単独で進めているHAKUTO-Rのミッション2は最短で12月にも打ち上げられる予定(着陸船は「RESILIENCE」、RESILIENCEで輸送される小型探査車「TENACIOUS」は欧州法人が開発RESILIENCEフォトレポート)。

サミットMCCの正面入り口(出典:ispace)
サミットMCCの正面入り口(出典:ispace)

 サミットMCCは、HAKUTO-Rのミッション3をはじめとするispace USが今後実施するミッションで宇宙機や顧客企業から委託された貨物(ペイロード)とのテレメトリ通信の地上の中枢設備として使用する。

 サミットMCCに足を踏み入れると、これまでのispaceの月探査への挑戦の歴史が記されており、進行中の月面ミッションを管制するオペレーションルームに続く。ミッションデータをチーム全体に共有可能なオペレーター用コンソールと大型モニターが設置されている。宇宙空間をイメージしたような室内には、ミッションの目的地である月の光のような、柔らかな照明がオペレーターを真上から照らしているという。

サミットMCCのメインオペレーションルーム(出典:ispace)
サミットMCCのメインオペレーションルーム(出典:ispace)

 2つめのオペレーションルームは、打ち上げ前のほかにミッション中のシミュレーションやリハーサルを実施する、ペイロードのオペレーターや顧客企業のために活用される。

 サミットMCCは、ispaceがミッション1での経験や間近に迫るミッション2の準備の中から得たさまざまな学びを生かして構成されているという。ispace USのミッションを運用するオペレーションチームは、実際にミッション1の運行を支援したが、ミッション2でも同様に支援する予定と説明。実際の経験に基づいた設計がミッション3に向けたオペレーショントレーニングにも生かされるとしている。

サミットMCCのサブオペレーションルーム(出典:ispace)
サミットMCCのサブオペレーションルーム(出典:ispace)

 ミッション3では、ispace USが米Charles Stark Draper Laboratory(Draper、米マサチューセッツ州)を代表にした企業グループ「Team Draper」に参加し、Team Draperの一員としてispaceが着陸船(ランダー)の設計と製造、ミッション全体の運用などを担当する。

 Draperは、観測装置などの貨物(ペイロード)などの月までの輸送を米航空宇宙局(NASA)が民間企業に委託する「商業月面輸送サービス(CLPS)」をNASAと契約。Team Draperは、CLPSのタスクオーダー「CP-12」を担う(CP-12で月に運ばれる装置はすでに決まっている)。

 CP-12としてTeam Draperは月着陸ミッション「APEX 1.0」を進め、ispaceはAPEX 1.0用としてランダーを設計、製造する。APEX 1.0はSpace Exploration Technologies(SpaceX)のロケット「Falcon 9」で打ち上げられる。打ち上げは2026年を予定している。

 APEX 1.0では、観測機器などの複数の科学的ペイロードを、月の裏側、南極付近に位置する「Schrödinger Basin(シュレーディンガー盆地)」に輸送する計画。ispace USは米政府や民間企業のペイロードの輸送と運用を担当する。

 ランダーは宇宙空間を航行中、直接地球と通信できるが、月との通信を確立させるため、ispace USは月軌道上に2基のリレー衛星を展開する予定。

関連情報
ispaceプレスリリース

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