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米ロッキード、膨張式エアロックの試験に成功–NASA基準を上回る安全率
米Lockheed Martinは米国時間8月14日、膨張式のエアロック設備の加圧と減圧の試験を実施した(エアロックは、気圧が異なる場所を移動するときに、隣り合う室内の圧力差を調節する出入口として必要な設備)。
Lockheed Martinは米コロラド州ウォータートンキャニオンの施設で膨張式エアロックにガスを注入し排出するサイクルを複数回実施。モジュールに活用される、液晶ポリマーから作られた合成繊維「ベクトラン」が時間の経過とともに、どの程度歪むかを評価した。米航空宇宙局(NASA)はモジュールの最低安全率を4倍と定めているが、試験では安全率6倍以上を測定したという。
海外メディアのSpaceNewsによると、Lockheed Martinで民間宇宙居住部門のチーフエンジニアを務めるUy Duong氏は、膨張式モジュールの利点は「より少ない質量でより大きな容量が提供できる」ことだと説明する。宇宙線や熱などからの保護についても、膨張式モジュールは従来の金属素材でできたモジュールよりも、はるかに優れていると説明している。
月や火星でのミッションでは、居住空間を確保することが大前提。膨張式モジュールは、地上から打ち上げるときに質量は小さくても、宇宙空間で空気などで膨らませれば、より大きな容積を確保できる技術として注目されている。
膨張式モジュールをテストしているのはLockheed Martinだけでなく、米スタートアップのMax SpaceやSierra Spaceの「Large Integrated Flexible Enviroment(LIFE)」などがある。LIFEは民間宇宙ステーション「Orbital Reef」への接続も予定されている。
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SpaceNews