月着陸船「ペレグリン」、失敗の原因が判明--打ち上げ直後から推進剤が漏洩

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月着陸船「ペレグリン」、失敗の原因が判明–打ち上げ直後から推進剤が漏洩

2024.08.28 15:30

塚本直樹

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 米Astrobotic Technologyの月着陸船(ランダー)「Peregrine」(ペレグリン)のミッションが失敗した理由について、「バルブの故障が原因」との報告書が米国時間8月27日に公開された(PDF)。

 Peregrineは1月、米航空宇宙局(NASA)の「商業月面輸送サービス(CLPS)」の一環として、United Launch Alliance(ULA)のロケット「Vulcan Centaur」で打ち上げられた。打ち上げ直後から推進剤の大部分を失うトラブルが発生し、月面着陸を断念。その後、地球の大気圏に再突入し燃えつきた

 報告書によれば、Peregrineの故障の原因はヘリウム圧力制御バルブ「PCV2」にあったという。「バルブ内部のネジ部品間の振動による緩み」からPCV2の密閉能力が喪失したことで、推進剤の漏洩につながった。

 Astrobitocは2025年末までに、次のランダー「Griffin」をSpace Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon 9」ロケットで打ち上げる。今回の報告を受け、Astrobitoc最高経営責任者(CEO)John Thornton氏は「Griffinの推進システムの信頼性は確実に向上した」と述べている。

 Griffinは、NASAの探査車(ローバー)「VIPER」(Volatiles Investigating Polar Exploration Rover)の搭載を予定していたが、NASAは予算の問題からVIPERプロジェクトを中止した

 VIPERについては、やはりCLPSとしてランダーを打ち上げる米Intuitive Machinesが興味を持っており、開発中のランダー「Nova-D」でVIPERを月に運ぶことを考えている。VIPERは、月の南極を100日かけて氷の状態で存在する水を探すことが目的。

関連情報
Astrobotic報告書(PDF
Space.com

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