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ロシア新衛星は「宇宙兵器」–米大使が国連で批判
ロシアが5月16日に打ち上げた衛星「Cosmos 2576」が、衛星破壊実験(Anti-SAtellite Test:ASAT)を目的としていたことを米政府が指摘している。
ASATは軌道上の衛星を宇宙、あるいは地上から妨害、破壊しようとする試みで、ロシアは2021年11月に地上からミサイルを発射し、人工衛星を破壊する実験(Direct-Ascent Anti-SAtellite Test:DA-ASAT)を実施。宇宙ゴミ(スペースデブリ)が大量に発生し、大きな問題となった。
ロシアは5月16日に「Soyuz-2.1b」ロケットでCosmos 2576を地球低軌道(LEO)に投入。その任務は明かされていないが、米の偵察衛星とみられる「USA 314」とパラメーターの一部が重なる軌道上にあることが指摘されている。
米国の国連代理大使を務めるRobert Wood氏は5月20日に開かれた国連安全保障理事会で「Cosmos 2576はおそらく宇宙兵器であり、おそらくLEOにある他の衛星を攻撃できるもの」と発言している。Wood氏によれば、ロシアは2019年と2022年にも対宇宙システムを搭載した衛星を打ち上げたとしている。
ロシアによるASATは2022年10月にも実施したとみられており、ASATで発生した破片を避けるため、国際宇宙ステーション(ISS)は回避行動を取っている。 ASATを巡っては、日本やドイツ、フランスは実施しないことを表明。国連総会で2022年12月にASATを禁止する決議が採択された。米企業を中心に航空宇宙企業26社がASATへの反対を表明している。宇宙兵器の分野ではロシアと中国が米に追い付いていると報告されている。