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天地人、「月面アスパラガス」を2度目の出荷–3カ月間春メニューとして提供
2024.03.29 08:00
天地人(東京都港区)は3月28日、栽培した「月面アスパラガス」の出荷を開始したと発表した。昨春に出荷実績があり、今回が2度目の出荷となる。
月面アスパラガスは、人工衛星からの気象情報などのビッグデータをもとに水を適切に管理して栽培されたという「宇宙ビッグデータ米」の経験を生かして栽培されている。
2023年の月面アスパラガスは、農学部に在籍する22~24歳の現役学生のインターンを中心に神奈川県川崎市の農家に協力してもらいながら栽培した。
2024年の月面アスパラガスは、同社が提供しているウェブベースの地理情報システム(Geographic Information System:GIS)「天地人コンパス」でアスパラガス栽培に適した場所を探して、埼玉県三郷市の生産者と一緒に栽培に取り組んだという。
今回の栽培地点は、前回栽培した川崎市とは土質や気候などが大きく異なったことや栽培中の2023年は猛暑であったことから、天地人コンパスのデータを使いながら、生産者と一緒に栽培管理を議論し、栽培に取り組んだと説明している。
出荷先は、2023年に引き続いて東京都渋谷区にある「天ぷら×白ワイン」をコンセプトにしたレストラン「テンキ」。月面アスパラガスを使ったメニューは3月18日から約3カ月間、春メニューとして提供されているという。
月面アスパラガスの栽培については、2月に鳥取県の衛星データ活用サービス実証事業に採択されており、同社は将来的に月面での栽培を目指している。
鳥取県は、月面開発に取り組む国内外の企業や研究者が集まり、交流する拠点になることを目指し「鳥取砂丘月面化プロジェクト」を推進。鳥取砂丘に月面実証フィールド「ルナテラス」を整備することで鳥取砂丘と月面の共通点や違いをデータで把握し、実証試験などに提供している。
天地人は、作物の栽培が難しい砂丘でのアスパラガス栽培技術を確立するため、衛星データを活用して農地環境を考察する。実証を通して天地人コンパスを活用し、鳥取砂丘の過去の気象データからアスパラガス生産に最適な栽培管理方法を検討していくという。