NASA、アルテミス計画の将来にあわせて巨大ロケット「SLS」を強化

ニュース

NASA、アルテミス計画の将来にあわせて巨大ロケット「SLS」を強化

2024.03.19 07:00

塚本直樹田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)は、巨大ロケット「Space Launch System(SLS)」のアップグレード計画を解説している

 現行の「Block 1」のパワーアップ版と言える「Block 1B」は、宇宙飛行士と大きなハードウェアの両方を月に運搬可能という。「より強力なロケット第2段と大型貨物用のアダプターが含まれる」とNASAは説明している。

Block 1Bの構造。Block 1Bでは、第2段として、現在の「Interim Cryogenic Propulsion Stage」(ICPS)が「Exploration Upper Stage」(EUS)に置き換えられる(出典:NASA)
Block 1Bの構造。Block 1Bでは、第2段として、現在の「Interim Cryogenic Propulsion Stage」(ICPS)が「Exploration Upper Stage」(EUS)に置き換えられる(出典:NASA)

 2022年11~12月の「Artemis I」と2025年9月に予定されている「Artemis II」、2026年9月以降に予定されている「Artemis III」、2028年に予定されている「Artemis IV」では、現行のBlock 1が活用される。2029年に予定されている「Artemis V」でBlock 1Bを活用する予定となっている。

現行のBlock 1では、無人で貨物だけを輸送する「Block 1 Cargo」も計画。Block 1Bと「Block 2」でも有人のCrewと無人で貨物だけを輸送するCargoが計画されている(出典:NASA)
現行のBlock 1では、無人で貨物だけを輸送する「Block 1 Cargo」も計画。Block 1Bと「Block 2」でも有人のCrewと無人で貨物だけを輸送するCargoが計画されている(出典:NASA)

 NASAのステニス宇宙センターでは、SLS用のより強力な「RS-25」エンジンがテストされている。同エンジンはArtemis Vとそれ以降に備えるため、3月中の数回のテストを含む、ホットファイア認証の試験を続けている。

 Artemis IVから始まるミッションでは、4基のエンジンを搭載した「探査用上段ステージ(Exploration Upper Stage:EUS)」が使用される。EUSでは新型バッテリーを搭載することで、以前の4倍にあたる8時間の運用が可能としている。

 現時点では、ArtemisのV~XIはBlock 1B、XII以降はBlock 2が計画されている。

現行のBlock 1の第2段であるICPSのエンジンは「RL10」1基だが、後継のBlock 1Bの第2段となるEUSは4基のRL10を搭載する。月までの輸送能力を比較すると、Block 1が27t、Block 1Bが38t。40%の能力向上になる(出典:NASA)
現行のBlock 1の第2段であるICPSのエンジンは「RL10」1基だが、後継のBlock 1Bの第2段となるEUSは4基のRL10を搭載する。月までの輸送能力を比較すると、Block 1が27t、Block 1Bが38t。40%の能力向上になる(出典:NASA)

関連情報
NASA解説(2020年8月10日)
NASA解説(2024年3月12日)

Related Articles