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内閣府「衛星リモートセンシングデータ実証プロジェクト」に5件採択

2022.07.15 08:00

田中好伸(編集部)

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 「光学衛星と合成開口レーダを組み合わせた乾燥費用削減情報の提供プロジェクト」では、光学衛星やSAR衛星を組み合わせて、収穫物の乾燥費用情報を可視化することで農家や農業団体の生産費削減に貢献できる情報を提供することが目的。

 農業分野では光学衛星が活用されており、「正規化植生指標」(Normalized Difference Vegetation Index:NDVI)を活用した生育状況情報、特に刈取時期が提供されている。だが、光学衛星のため曇天時に利用できないという課題がある。

 同プロジェクトでは、さくらインターネットが運営する衛星データプラットフォーム「Tellus」から取得できる光学衛星で対象地域内の成熟早晩情報を獲得するとともに、SAR衛星のデータで農作物の“含水分率マップ”を作成する。貯蔵時の水分率や半乾燥時まで乾燥させるために必要な燃料費を示す“乾燥費用マップ”も作成する。これらの施策から840万円程度を削減できるという。

 「光学衛星データを活用した河道内地被分類(植生、土砂)の推定」では、国の河川管理の高度化を図ることが目的。

 国の河川管理では、植生や砂州などの地形情報図である「河川環境基図」が重要な役割となっている。国が管理する河川は長さが1万kmであり、時間と費用がかかり、更新頻度は5年は一度となっている。河川環境基図は最新の航空写真と比較して変化している場所は人間による判読で抽出しているために、効率化や精度向上に課題が指摘されている。

 河川の航空写真は1km2あたり10万~20万円。予算上の制約があるために5年に一度となっている。また、撮影日と河川環境基図の更新時期に乖離が大きいことから精度に課題が指摘されている。対する、光学衛星は1km2あたり1000~2000円であることからコスト削減が大きいと期待されている。

 同プロジェクトでは、河川環境基図をもとに光学衛星画像の教師データを生成、機械学習させて自動判別で精度を検証する。河道内の植生は地域ごとの特性があるために全国を植生分に応じてブロック分けを検討して、教師データを準備する。河川環境基図に熟知しているというリバーフロント研究所と連携して、植生分類などの判読精度の向上に努めるとしている。

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