ニュース

内閣府「衛星リモートセンシングデータ実証プロジェクト」に5件採択

2022.07.15 08:00

田中好伸(編集部)

facebook X(旧Twitter) line
1 2

 内閣府の宇宙開発戦略推進事務局が主催する、2022年度「課題解決に向けた先進的な衛星リモートセンシングデータ利用モデル実証プロジェクト」の結果が公表された。24件が応募され、5件が採択された。

 企業や官公庁、自治体が抱える課題の解決に貢献できる衛星リモートセンシングデータの利用モデルを実証し、その効果を評価すると同時に、実証の成果を実際のビジネスへつなげていくことを目的とした内閣府 宇宙開発戦略推進事務局による事業。今回で6回目となる。

プロジェクト名サービス利用者名サービス提供者名
衛星データによる「ずっと、400年」の先へ続く醤油原料の地産化ヒガシマル醤油
高田商店
アグリライト研究所
一般財団法人リモート・センシング技術センター
地方独立行政法人山口県産業技術センター
水道管路の漏水リスク評価手法及び漏水調査支援ツールの実証豊田市 上下水道局 水道維持課天地人
カーボンニュートラルを目指す自治体と民間企業とのマッチングに向けたブルーカーボンのポテンシャル評価事業実証熊本県上天草市
ENEOS
ウミトロン
光学衛星と合成開口レーダを組み合わせた乾燥費用削減情報の提供プロジェクトスマートリンク北海道(農業者、農業団体)パスコ
光学衛星データを活用した河道内地被分類(植生、土砂)の推定河川管理者(国土交通省水管理・国土保全局)衛星データサービス企画
日本工営
公益財団法人リバーフロント研究所
スカパーJSAT

 「衛星データによる『ずっと、400年』の先へ続く醤油原料の地産化」は衛星データに加えて、これまで蓄積されたデータや知見を活用して、米や小麦、大豆といった醤油原料の地産化を実現するために実証する。

 「米→小麦→大豆」という2年3作輪作体系での前作と後作の関連を評価するとともに畑作物の初期生育から土壌の排水性を把握、品質収量から次の栽培に必要な作業を絞り込んで省力化情報を提供、生産性を高めるシステムを構築するという。

(出典:内閣府)
(出典:内閣府)

 「水道管路の漏水リスク評価手法及び漏水調査支援ツールの実証」は、計画的に水道管を更新していくことが背景にある。愛知県豊田市では、法定耐用年数を超える水道管が2018年度末時点で約450km、20年後には全体の60%である2300kmが見込まれている。

 豊田市のプロジェクトでは、光学衛星や合成開口レーダー(SAR)衛星のデータに漏水修繕データや管路データなどを組み合わせた「漏水リスク評価手法」を開発する。漏水調査の優先順位の判定に利用できる、10段階の「漏水リスクマップ」も作成する。

 サービスを提供する天地人(東京都港区)は、作成された漏水リスクマップを同社の土地評価エンジン「Tenchijin COMPASS」に実装する。将来のユーザーになり得る地方自治体に対して、ニーズを調査するとともに要件定義をヒアリングして「漏水調査支援ツール」も開発する。

 「カーボンニュートラルを目指す自治体と民間企業とのマッチングに向けたブルーカーボンのポテンシャル評価事業実証」は、“持続可能な開発目標(SDGs)”が背景にある。熊本県の上天草市は、2050年までに温室効果ガスの排出量を全体としてゼロにする“カーボンニュートラル”達成に向けた取り組みを進めている。

 炭素が藻場や浅瀬などの海洋生態系に取り込まれる「ブルーカーボン」は蓄積量や吸収の早さからカーボンニュートラルへの手段として注目されている。同プロジェクトでは、上天草市を舞台に衛星データと地上データを活用してブルーカーボンの蓄積量や潜在能力を評価。自治体や地域関係者、民間企業にヒアリングして、自治体と民間企業をマッチングさせるために必要な情報を評価、検証する。ウミトロン(東京江東区)がブルーカーボンの蓄積量や潜在力を評価する。

1 2

Related Articles