ニュース

月探査「アルテミス」の事前調査衛星「CAPSTONE」、打ち上げ成功–月到着は4カ月後

2022.06.30 13:55

佐藤信彦

facebook X(旧Twitter) line

 米航空宇宙局(NASA)とRocket Lab USAは、月探査計画「Artemis(アルテミス)」の一環で事前調査のための小型衛星「Cislunar Autonomous Positioning System Technology Operations and Navigation Experiment(CAPSTONE)」について、打ち上げを成功させた(NASARocket Lab)。

Artemis計画に必要なデータを収集する(出典:NASA)
Artemis計画に必要なデータを収集する(出典:NASA)

 CAPSTONEは、大きさが電子レンジほどのキューブサット。Artemis計画において、月周回軌道で待機する有人拠点「Gateway」の事前準備に必要なデータを収集することが目的。Gatewayと同じ「Near Rectilinear Halo Orbit(NRHO)」と呼ばれる軌道に投入され、同軌道で安定して周回可能かどうか、データを収集する。この軌道は、軌道面が常に地球を向いているため、地球との通信が途絶えないという。

電子レンズサイズのCAPSTONE(出典:NASA)
電子レンズサイズのCAPSTONE(出典:NASA)

 CAPSTONEは、Rocket Labの「Electron」ロケットを使い、ニュージーランドのマヒアから協定世界時(UTC)6月28日午前9時55分(日本時間6月28日午後6時55分)に打ち上げられた。Rocket Labの第3段プラットフォーム「Lunar Photon」に搭載された状態で、低地球軌道(LEO)に入った。

 その後6日間、Photonで加速した後に切り離され、CAPSTONE単独で約4カ月かけて目標の軌道を目指す。この飛行経路は太陽の重力を利用できるため、使用する燃料が少なくて済むという。

 月の北極から1000マイル(約1600km)、南極から4万3500マイル(約7万km)離れた地点を通過するこのNRHO軌道を、CAPSTONEは約6.5日かけて1周する。そして、軌道制御や通信、ナビゲーションといった技術を6カ月かけて検証する。

CAPSTONE打ち上げのビデオ(出典:Rocket Lab/YouTube)

 CAPSTONEの飛行経路は、惑星探査機や惑星の位置関係を3D表示するNASAのサービス「NASA/JPL Eyes」で確認可能。CAPSTONEのデータは、打ち上げから1週間ほどして反映され始めるという。

CAPSTONEもここに掲載される(出典:NASA)
CAPSTONEもここに掲載される(出典:NASA)

Related Articles