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NASA、原子力発電を月探査「アルテミス」で検討–2020年代中に試験運用

2022.06.23 14:36

佐藤信彦

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 米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)は、月の探査活動に必要な電力を原子力発電で確保しようと、「Fission Surface Power」システムの開発を進めている。第1段階のコンセプトデザインを検討する企業とし、Lockheed MartinとWestinghouse、IXの3社を選定した。2020年代中に、月面で試験運用する考え。

 NASAは現在、月へ宇宙飛行士を送って月面探査などを実施する「Artemis(アルテミス)」計画に取り組んでいる。月で長期的な探査活動をするには、生命維持や基地建設、採掘などさまざまな場面で電力確保が欠かせない。

 発電技術のうち、核分裂のエネルギーを利用する原子力発電は、システムが比較的小さく軽く、安定性が高いという。さらに、日照などの環境条件に左右されず、連続して発電可能だとした。月を長期にわたって探査するArtemis計画だけでなく、将来の火星探査活動でも利用できると見込む。

火星でも利用可能と見込む(出典:NASA)
火星でも利用可能と見込む(出典:NASA)

 コンセプトデザインの条件は、月の環境下で10年間以上は運用可能な、出力40kWの原子力発電システム。選定された3社は以下のパートナー企業と協力し、12カ月かけて設計する。契約金は、それぞれ約500万ドル(約6億8000万円)。

  • Lockheed Martin:BWX Technologies(BWXT)、Creare
  • Westinghouse:Aerojet Rocketdyne
  • IX(Intuitive MachinesとX-Energyの合弁会社):Maxar Technologies、Boeing

 NASAは、月面で太陽エネルギーから発電する技術についても、アイデアを募集している。

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