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「ボイジャー1号」に障害、観測データを送信できない状態–地球から約240億km
2023.12.14 09:32
米航空宇宙局(NASA)は、宇宙探査機「Voyager 1(ボイジャー1号)」の搭載コンピューター「Flight Data System(FDS)」に障害が発生し、科学観測データなどを地球へ送信できない状態になっていると発表した。
Voyager 1は、1977年9月5日に打ち上げられた探査機。当初の目標であった木星と土星の衛星などを観測した後、2012年8月25には太陽圏(ヘリオスフェア)を脱出し、現在は地球から約240億km離れた恒星間空間を航行中だ。コンピューターの故障といったトラブルは発生しつつも、2023年11月にはソフトウェアをアップデートするなどして、地球へデータを送り続けてきた。
今回の障害は、観測装置からのデータやVoyager 1の動作情報を集めるFDSで発生した。Voyager 1内部で通信サブシステム「Telecommunications Unit(TMU)」とFDSが正常に通信できなくなり、観測データなどの送信が実行できなくなった。
運用チームはFDSの再起動を試みたが、正常な状態には戻っていない。そこで、古い資料を調べるなど、ほかの対策を検討していく。ただし、地球からVoyager 1まで電波が届くのに22時間半かかるため、コマンド送信の結果を受信するのに往復45時間かかってしまう。
Voyager 1の姉妹機「Voyager 2(ボイジャー2号)」は1977年8月20日に打ち上げられ、同様に太陽圏を脱出済み。2023年7月に一時的な通信途絶状態へ陥ったが、回復して航行を続けている。
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NASA発表
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