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世界初、金属の多い小惑星「プシケ」を直接探査する意義とは–打ち上げ成功

2023.10.17 11:25

塚本直樹

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 米航空宇宙局(NASA)の小惑星探査機「Psyche」(プシケ)が米国時間10月13日、Space Exploration Technologies(SpaceX)の「Falcon Heavy」ロケットで打ち上げられた。

出典:NASA

 フロリダ州ケープカナベラルのケネディ宇宙センター(KSC)から打ち上げられたFalcon Heavyは、打ち上げから約62分後にPsycheを予定軌道に投入した。Falcon Heavyの2本のサイドブースターはエンジンを再点火して地上へと着陸し回収された。

 同ミッションでは、火星と木星の間で太陽を周回している小惑星「Psyche」(プシケ)を探査する。同小惑星のサイズは幅279kmで、鉄やニッケルなどの金属を多く含んでいるとみられている。金属の豊富な小惑星に探査機が向かうのは世界初となる。

 Psycheは古代の原始惑星の核とみられており、岩石惑星の核の形成について、貴重なデータを得られる可能性がある。地球の核の直接探査は現在の技術では不可能だが、Psycheの探査はその代替となるわけだ。

 探査機は磁力計やガンマ線・中性子分光計、多波長イメージャなどを備え、小惑星の組成や特性を詳しく調査する予定だ。

 このほか、「深宇宙光通信」(Deep Space Optical Communications :DSOC)の技術実証も予定している。デモは打ち上げから約3週間後、探査機が地球から約700万km離れた時点で実施され、光レーザーを用いて深宇宙との広帯域データ通信を実証する。これが実現すれば、深宇宙探査において得られるデータ量が格段に増す可能性がある。

 また、ソーラーパネルから得た電力を用いて推進する「太陽電気推進」を採用する点も特徴だ。これは、搭載するキセノンガスを電気でイオン化してスラスターから噴射する方式で、得られる推力は弱いものの、少ないガス搭載量で長期間のミッションが可能となる。

 探査機は2026年5月に火星の重力を利用して軌道を変更した後に、2029年7月に小惑星へと接近する。そして約1カ月かけてシステムチェックし、同年8月から21カ月間、複数の軌道から小惑星の表面をマッピングし分析する計画だ。

関連リンク
NASA(1)
NASA(2)

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