ピンポイント着陸目指す「SLIM」、月遷移軌道に--無事に軌道を変更

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ピンポイント着陸目指す「SLIM」、月遷移軌道に–無事に軌道を変更

2023.10.02 14:42

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、「小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon:SLIM)」を地球周回軌道から離脱させ、月を目指す月遷移軌道に乗せた。SLIMは正常な状態にあるという。

 SLIMは、9月7日午前8時42分11秒に種子島宇宙センターから国産基幹ロケット「H-IIA」の47号機で打ち上げられ、地球周回軌道に投入された。「地球周回運用期間」中に搭載機器の機能を確認しつつ、月遷移軌道に軌道を制御するための準備を進めてきた。

 地球周回軌道から離脱させる軌道変換指令は、10月1日午前2時40分ごろ送出し、南大西洋の上空約660kmの地点でメインエンジンを約39秒間噴射。予定通りの軌道変換を確認したことで「月遷移フェーズ」への移行完了とした。

地球周回軌道から月遷移軌道へ(出典:SLIM公式Xアカウント)
地球周回軌道から月遷移軌道へ(出典:SLIM公式Xアカウント)

 今後、必要に応じて軌道を修正し、10月4日午後に1回目の月との会合をする予定。

 SLIMは、将来の月や惑星の探査に必要なピンポイント着陸技術を研究し、小型探査機を活用して月面で実証する計画。人類が進める重力天体探査は、従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査へと大きな転換を果たすことになると説明する。着陸の目標地点は、「神酒の海」近くにある「Theophilus(テオフィルス)」クレーターの“へり”(関連記事:インドの月探査機「チャンドラヤーン3号」着陸成功のインパクト–日本にも朗報な理由とは)。

目指すはTheophilusクレーター(出典:SLIM公式Xアカウント)
目指すはTheophilusクレーター(出典:SLIM公式Xアカウント)

関連リンク
JAXAプレスリリース
SLIM公式Xアカウント

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