「H-IIA」47号機、8月27日午前に打ち上げ--月着陸を目指す「SLIM」など搭載

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「H-IIA」47号機、8月27日午前に打ち上げ–月着陸を目指す「SLIM」など搭載

2023.08.24 15:51

佐藤信彦

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 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、種子島宇宙センターから8月26日に打ち上げるとしていた国産基幹ロケット「H-IIA」47号機について、打ち上げ日時を8月27日午前9時30分15秒へ延期した。延期の理由は、8月26日に天候悪化が予想されるためと説明している。

 H-IIA 47号機には、JAXAの開発した「X線分光撮像衛星(X-Ray Imaging and Spectroscopy Mission:XRISM)」と「小型月着陸実証機(Smart Lander for Investigating Moon:SLIM)」が搭載される。

XRISMとSLIM(出典:JAXA)
XRISMとSLIM(出典:JAXA)

 SLIMは、将来の月惑星探査に必要なピンポイント着陸技術を研究し、小型探査機を活用して月面で実証する計画。人類が進める重力天体探査は、従来の「降りやすいところに降りる」探査ではなく、「降りたいところに降りる」探査へと大きな転換を果たすことになると説明する。「神酒の海」の近くを着陸目標としている。

 SLIMには、JAXAやタカラトミー、ソニー、同志社大学が共同で開発した、月面を移動できる探査ロボット「Lunar Excursion Vehicle 2(LEV-2)」(愛称「SORA-Q(ソラキュー)」)が搭載される予定。

月探査ロボット「SORA-Q」(出典:タカラトミー、JAXA、ソニー、同志社大学)
月探査ロボット「SORA-Q」(出典:タカラトミー、JAXA、ソニー、同志社大学)

 X線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)の後継であるXRISMは、ASTRO-Hの成果や研究の進展をもとに、銀河を吹き渡る風である「高温プラズマ」のX線精密分光撮像を通じて、物質やエネルギーの流転を調べ、天体の進化を解明するのが目的。JAXAの宇宙科学研究所(ISAS)にとって7番目のX線天文衛星計画となる。

 47号機の打ち上げ予備期間は、8月28日~9月15日を設定している。

 H-IIAによる打ち上げ輸送サービスは、三菱重工業がJAXAによるロケット技術の移転を受け、2007年から実施。2013年からは「H-IIB」も打ち上げ輸送サービスのラインアップに追加されている。H-IIAは50号機で退役する予定。

関連リンク
JAXAプレスリリース
XRISM/SLIM特設サイト

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