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系外惑星の「生命の痕跡」を直接観測する望遠鏡「HWO」とは–NASAが構想

2023.09.12 11:25

塚本直樹

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 地球サイズの系外惑星を望遠鏡で直接観測し、生命の痕跡を見つけるにはどうすればいいか──。8月初旬に科学者と技術者がカリフォルニア工科大学の講堂に集まり議論した。

 米航空宇宙局(NASA)は、太陽系外のハビタブルゾーン(液体の水が存在するのに適した温度の領域)にある惑星の大気を観測し、地球外生命体の痕跡を探すための新型望遠鏡「Habitable Worlds Observatory」(HWO)を開発する構想を掲げている。

 我々の住む天の川銀河だけでも、ハビタブルゾーン内に地球サイズの惑星が数十個あると推定されている。これらを望遠鏡で直接観測し、酸素、メタン、水蒸気、そして生命の存在を示す可能性のあるその他の化学物質の検出を目指すというわけだ。

 しかし、地球サイズの系外惑星を観測する際に課題となるのが、主星である恒星の光だ。観測する際には、主星の光を効果的に遮る必要がある。その方法は主に、望遠鏡の内部で星を遮る「コロナグラフ」と、望遠鏡の外側で星を遮る「スターシェード」の2方式が提案されている。このうち、HWOの構想ではコロナグラフを採用する方向で議論が進んでいる。

 ジェット推進研究所(JPL)に所属し、HWOの技術評価グループのメンバーでもあるDmitry Mawet氏は「ミッションを設計する前に、必要な主要技術をできるだけ開発する必要がある」と述べた。彼によれば、HWOは2030年代後半から2040年代前半の打ち上げを目指している。

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カリフォルニア工科大学

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