東大など、火山活動の可能性がある地球サイズの系外惑星を発見--地球から90光年

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東大など、火山活動の可能性がある地球サイズの系外惑星を発見–地球から90光年

2023.05.22 12:46

佐藤信彦

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 東京大学と自然科学研究機構アストロバイオロジーセンター、科学技術振興機構(JST)は、火山活動している可能性のある地球サイズの太陽系外惑星(系外惑星)「LP 791-18d」を発見した(その1その2)。

 LP 791-18dは、コップ座にある地球から約90光年離れた赤色矮星「LP 791-18」を主星とする、その周囲を回る惑星。その半径は地球の1.03倍で、地球とほぼ同じ大きさ。主星からの距離は0.02天文単位(au)と極めて近く(1auは、地球と太陽の平均距離)、公転周期は2.75日。

主星と各惑星の位置関係(出典:東京大学など)

 LP 791-18dより外側の軌道には、地球に比べ半径が約2.5倍、質量が約9倍という大きな惑星「LP 791-18c」が、公転周期およそ4.99日で周回している。LP 791-18dには、LP 791-18cの引力で大きな潮汐力が働いて変形させられることから、内部が加熱され、表面で活発な火山活動の起きている可能性があるという。

 LP 791-18dの自転周期と公転周期は、主星による潮汐力の影響で一致していて、常に同じ面を主星に向けている。そのため、「昼側」の面は高温になっていて液体の水が存在しないと思われる。一方、「夜側」には大気があり、液体の水の存在する可能性もあるという。その大気組成を調べ、火山活動で大気中に炭素が放出されていると確認できれば、生命の起源を探る際の興味深い研究対象になる。

 LP 791-18dは、米航空宇宙局(NASA)のトランジット系外惑星探索衛星「Transiting Exoplanet Survey Satellite(TESS)」と宇宙望遠鏡「Spitzer」、東京大学とアストロバイオロジーセンターの研究者が開発した多色同時撮像カメラ「MuSCAT」「MuSCAT2」を取りつけた地上望遠鏡による観測結果を組み合わせることで発見できた。

(左)MuSCATを取りつけた岡山の望遠鏡、(右)MuSCAT2を取りつけたスペイン・テイデ観測所のドーム(出典:東京大学など)
(左)MuSCATを取りつけた岡山の望遠鏡、(右)MuSCAT2を取りつけたスペイン・テイデ観測所のドーム(出典:東京大学など)

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