JAMSS、JAMSTECの宇宙環境曝露実験を支援--宇宙エレベーター向け接合技術を評価

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JAMSS、JAMSTECの宇宙環境曝露実験を支援–宇宙エレベーター向け接合技術を評価

2023.09.08 14:09

佐藤信彦

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 国立研究開発法人の海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、国際宇宙ステーション(ISS)で実施する宇宙環境曝露実験の支援企業として、有人宇宙システム(JAMSS、東京都千代田区)を選定した。

 宇宙環境曝露実験とは、実験対象の部材をISS外部に一定期間剥き出しでさらし、宇宙空間で材料が受ける劣化などの影響を調査する実験。JAMSTECは「樹脂とAl合金及びMg合金との異材接合における宇宙環境曝露実験」を2023~2025年度の3年にわたって行う計画。

 JAMSSは、この実験の計画立案から打ち上げ支援、ISSでの曝露実験、地上での対照実験、データ回収、データ引き渡しまでの全工程を、ワンストップで対応する。ISSでの実験には、米Aegis Aerospaceの保有する宇宙実験装置「MISSE」を使う。約6カ月間の曝露実験を2回行う予定で、1回目は2024年春ごろ米国からISSへ打ち上げられる。

Aegis Aerospaceの実験装置「MISSE」(出典:Aegis Aerospace)
Aegis Aerospaceの実験装置「MISSE」(出典:Aegis Aerospace)

 実験では、難接着複合材と軽金属とをレーザー直接接合した試料を宇宙空間にさらして、接合の信頼性を評価する。得られたデータは、将来の宇宙エレベーター研究開発における接合技術への展開が期待されるという。

 JAMSSは、ISSの日本実験棟「きぼう」を運用している民間企業。1990年に創立。きぼうのほかに、日本が開発した無人の物資補給機「H-II Transfer Vehicle(HTV)」(愛称「こうのとり」)も運用していた。宇宙飛行士や管制要員の訓練、宇宙実験の実施にも携わっている。

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JAMSSプレスリリース

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