アマナイメージズ、衛星での画像撮影を受注--アクセルスペース「GRUS」活用

ニュース

アマナイメージズ、衛星での画像撮影を受注–アクセルスペース「AxelGlobe」活用

2023.08.25 16:33

飯塚直

facebook X(旧Twitter) line

 画像ライブラリを運営するアマナイメージズは8月25日、アクセルスペース(東京都中央区)が運用する小型人工衛星による画像撮影の受注サービスを開始したと発表した。アクセルスペースが運用する小型衛星コンステレーションによる光学地球観測プラットフォーム「AxelGlobe」を活用する。

 AxelGlobeは、世界のあらゆる地域を高頻度で観測できると説明。現在、衛星5機が軌道上でフル稼働し、同一地点を2~3日に一度撮影できるという。希望のエリアを地上解像度2.5m(画像中の1ピクセルあたり地上の2.5m程度の情報)で撮影できる。

 アクセルスペースが保有する人工衛星「GRUS」が2019年から撮影した衛星画像はAxelGlobeとして構築。2021年にはGRUSを4機追加して打ち上げたことで撮影キャパシティが拡大したという。

 アマナイメージズのストックフォト事業をベースに広告や出版、報道、商品開発、人工知能(AI)の開発などの幅広い顧客層に対し、小型人工衛星による画像撮影の受注サービスを展開する。

 新規撮影サービスとして、指定の1カ所を指定した期間内に1回だけ撮影する「AxelGlobe Tasking Service」と、月単位の契約で指定の1カ所、または複数の地域を複数回撮影する「AxelGlobe Monitoring Service」を用意する。

 新規の撮影に加え、AxelGlobeに蓄積された2019年以降の衛星画像データから地域や地区、番地など希望のエリアを切り出して取り寄せられるという。依頼から4日前後で納品できるとしている。

 アクセルスペースが独自に定める地球全体を約5km×5kmの正方形で区切った範囲を「1セル」とし、衛星画像の撮影範囲で価格が異なる。税別参考価格として「3×3」で6万円、「4×4」で8万円、「5×5」で10万円、「6×6」で12万円を提示している。

蓄積された画像データから地区や番地などで切り出した画像も利用できる(出典:アクセルスペース)
蓄積された画像データから地区や番地などで切り出した画像も利用できる(出典:アクセルスペース)
蓄積された画像データから地区や番地などで切り出した画像も利用できる(出典:アクセルスペース)

 新規で撮影した衛星画像は、広告や出版、報道、教育などでの活用が可能。物体検出、土地や都市の状況把握などAIのベースとなる機械学習用の教師データとしても利用できるという。

 有名な場所やフォトジェニックな衛星画像(47点)は、アマナイメージズのストック素材販売サイト「amanaimages.com」で順次販売を開始する。

世界の主要都市や各地の砂漠や湖、山、氷山を撮影した47点のアーカイブ画像を提供(点数は順次拡大予定、出典:アクセルスペース)
世界の主要都市や各地の砂漠や湖、山、氷山を撮影した47点のアーカイブ画像を提供(点数は順次拡大予定、出典:アクセルスペース)

 東京をはじめとする世界の主要都市に加え、世界各地の砂漠や湖、山、氷山などさまざまな地形、「正規化植生指数(Normalized Difference Vegetation Index:NDVI)」データと呼ばれる、特定の波長の光に対する反射率を検知して、植物の光合成の活性度や植物の分布状況を可視化した画像なども用意。今後もニーズの高い場所を中心に、点数を増やしていく予定となっている。

米カリフォルニア州カーン郡の分析データ。GRUSで撮影。NDVI解析で赤と緑で農作物の生育状況を塗り分けて一目で分かりやすく加工した画像
米カリフォルニア州カーン郡の分析データ。GRUSで撮影。NDVI解析で赤と緑で農作物の生育状況を塗り分けて一目で分かりやすく加工した画像

 AI機械学習用途では、AIデータプラットフォームを開発、提供するFastLabel(東京都品川区)と業務提携しており、分類や物体検出、領域検出などアノテーション加工済みの衛星画像の提供にも対応する。

関連リンク
アクセルスペースプレスリリース
アマナイメージズプレスリリース

Related Articles