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エクサウィザーズ、曲線のファスナーも自動開閉できるロボット開発–宇宙飛行士の作業を支援
2023.08.23 16:06
AI対応ロボットなどを手がけるエクサウィザーズ(東京都港区)と、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、宇宙空間のさまざまな作業で行うファスナー開閉操作を自動化できるロボットを開発した。曲線を含むような柔軟物のファスナーも高い精度で開閉できるとしている。
国際宇宙ステーション(ISS)で取り扱う物品は、大きさや形が統一されておらず、それぞれ異なる方法でハンドリングする必要がある。運搬するだけでも不定型の作業となり、自動化は難しい。
一方、宇宙飛行士による船外作業のリスクを低減するため、ロボットやロボットアームで対応できる作業を増やす必要がある。しかし、物資輸送用バッグ(Cargo Transfer Bag:CTB)やケーブルのような、形状の変化する対象物のロボット操作は困難だ。
JAXAは、エクサウィザーズが持つさまざまな作業に対応可能なソリューション「exaBaseロボティクス」がISSなどで要求される不定型作業の自動化や自律化に活用可能と考え、「2022年度機械学習を活用したロボット操作の自律化検討・試作等」の対象として選定。共同で技術検討に取り組んできた。
エクサウィザーズらは、カメラから得られる視覚的な情報と、触覚とみなせる関節モーター電流から推定したトルク値(力覚)情報を併用するマルチモーダルAIを使用。模倣学習させたうえで、CTB操作を想定した作業を行った。
その結果、学習した際の位置に対象物を固定した状況では、曲線を含む柔軟物のファスナー開閉作業が100%の精度で実現できたとしている。対象物を学習条件と異なる位置に動かした状況でも、曲線を含むファスナーの開閉作業を80%以上の精度で実現できたという。
今後は、宇宙での作業に適用するため、重力環境の変化する状況下でも高精度で作業できるよう開発を進める。
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エクサウィザーズプレスリリース