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気球での宇宙旅行目指す岩谷技研、HOSPOで放球実験–生分解性筐体となどを活用

2022.05.11 08:00

飯塚直

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 「北海道スペースポート(HOkkaido SpacePOrt:HOSPO)」を運営するSPACE COTAN(北海道大樹町)は5月10日、北海道大樹町や岩谷技研(札幌市北区)と、HOSPOの1000m滑走路で気球の放球実験を5月第3週(16~19日)に実施すると発表した。

 HOSPOは、2021年4月に大樹町でアジア初の民間にひらかれた商業宇宙港として本格稼働。「北海道に、宇宙版シリコンバレーをつくる」というビジョン実現に向けて、ロケットや宇宙旅行などを目的とした宇宙船(スペースプレーン)の射場・実験場を整備し、打上支援事業を展開している。2025年までに2つの人工衛星用ロケット射場整備を進めている。

HOSPO(出典:SPACE COTAN)
HOSPO(出典:SPACE COTAN)

 SPACE COTANによると、2021年は民間有人宇宙旅行が注目を集め、世界的に宇宙商業利用は加速。民間企業が数多く宇宙ビジネスに参画し、国主導の“宇宙開発”とともに民間による“宇宙産業”がさらに進化していると説明する。

 2040年には世界の宇宙産業は100兆円超の巨大市場に成長すると予測されている。宇宙旅行は現在、巨額の費用がかかるとされ、宇宙空間に行くために特別な訓練(肉体的・精神的)が必要で、一部の特別な人に限られているのが現実と指摘されている。

 その課題に対し、岩谷技研は今後2年以内の気球での宇宙旅行の実現を目指し、ガス気球と気密キャビンの開発を進めているという。

 これまでに岩谷技研は、宇宙旅行用のプラスチック気球と気密キャビンを自社で開発。2018年6月には、淡水魚の打ち上げと帰還に成功しているという。

(出典:SPACE COTAN)
(出典:SPACE COTAN)

 2021年5月には、無人気密キャビンと自社製プラスチック気球の打ち上げと回収に成功。2021年2月には低高度有人係留飛翔試験、同3月には25m級気球の打ち上げなどの実証実験を行い、それぞれ成功している。

 今回の放球実験では、岩谷技研が開発中の気球を活用する。内製基板の長距離通信可否を検証するために、生分解性筐体とゾンデ気球を活用した実験になるという。

(出典:SPACE COTAN)
(出典:SPACE COTAN)

 岩谷技研がHOSPOで実験するのは今回が初めてとなり、今後もHOSPOで同様の実験を行う予定。データを検証、蓄積して、最大41m級までの自社製プラスチック気球の回収前提の各種実験も計画する。

(出典:SPACE COTAN)
(出典:SPACE COTAN)

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