ワープスペース、NEDOの「SBIR」に採択--マルチプロトコルのルーターなどを開発

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ワープスペース、NEDOの「SBIR」に採択–マルチプロトコルのルーターなどを開発

2023.08.08 15:36

飯塚直

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 ワープスペース(茨城県つくば市)は8月7日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施する研究開発型スタートアップ支援事業「SBIR推進プログラム」(一気通貫型)の2023年度で同社の提案が採択されたと発表した。

 SBIR(Small Business Innovation Research)は、米国で生まれた中小企業やスタートアップ企業を対象にした補助金などで支援する制度。米国のSBIRでは、フィージビリティスタディ(FS、実現可能性調査)、研究開発、事業化という段階で構成されるという。日本版SBIRは、「中小企業等経営強化法」に基づく制度として1999年から展開されてきた。

 NEDOのSBIR推進プログラムは、内閣府が司令塔となって、省庁横断的に実施される。関係府省庁などが実施する研究開発課題や研究開発フェイズは、年度ごとに内閣府ガバニングボードで決定する。

 FSや概念実証(Proof of Concept:PoC)といった研究開発の初期段階をフェイズ1、実用化開発支援をフェイズ2として、各フェイズをSBIR推進プログラム内で実施する「一気通貫型」、関係する府省庁などで実施する指定補助金などに接続する「連結型」で実施する。

 2020年に閣議決定された宇宙基本計画に従い、光通信を利用した宇宙活動を支える総合的基盤を強化することが日本の政策となっている。

 ワープスペースによると、宇宙空間のデータでは、従来の通信方式では円滑に地球へと伝送できないという問題があるという。

 衛星間光通信のネットワークに対しては、Beyond 5Gなどの次世代宇宙空間ネットワークや宇宙空間へのインターネットの拡充、それぞれが横断的につながる互換性と相互運用性が求められている。

 その中で、それぞれ独自に開発された通信ネットワークをひとつにつなげるためには、各通信ネットワークプロトコルを翻訳し、中継する機能を持つ衛星などの宇宙機が宇宙空間に必要だという。

 そこでワープスペースは、これらの機能をもった「光空間通信におけるマルチプロトコルプラットフォームを実現するモデム及びルーター開発」を提案し、採決された。

 これにより、衛星間光通信ネットワークの互換性と相互運用性を持つ光通信モデムとルーターの開発に取り組んでいくという。

 小型衛星を活用した宇宙空間での光即応通信サービスで宇宙空間からのデータ伝送問題を解決するとともに、地上に提供できる衛星データの数と取得スピードをあげることで、防災や一次産業のデータ需要を充足することでの貢献を目指す。今回のプロジェクトを通じて開発した技術をもとに、衛星間光通信ネットワーク全体のハブとなることを目指すとしている。

関連リンク
ワープスペースプレスリリース

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