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宇宙の「天気」を直接観測、新型センサーがISSへ–その用途とは
2023.08.04 11:20
欧州宇宙機関(ESA)が開発した新型センサー「Multi-Needle Langmuir Probe」が国際宇宙ステーション(ISS)に到着する。このセンサーは、地球の上層大気の「天気」を詳細に測定する能力を持つ。
宇宙天気予報とは、太陽フレアや磁気嵐などを観測し、それらが地球に与える影響を予測することを指す。これらの現象は、衛星通信や送電線の異常だけでなく、航空機の通信や地上の電子機器にも影響を及ぼす可能性がある。
今回ISSに届けられるMulti-Needle Langmuir Probeは、地球周辺の荷電粒子の密度をメートル単位、かつ1秒間に最大5000回という頻度で測定する。ISSが飛行する高度400km付近は大気圏の上層部にあたり、太陽活動を含む宇宙天気によって状態が大きく変化する。ここでの荷電粒子の観測は、すなわち宇宙天気の一部を直接観測することと同義だ。
同センサーは、「Cygnus」貨物船でISSへと運ばれる。そして、今後の「Crew-7」ミッションでISSに滞在予定となっているAndreas Mogensen飛行士が、ISSに新設されたBartolomeoプラットフォームに同センサーを設置する予定だ。
この新型センサーの登場により、宇宙天気の観測がより精密になり、衛星通信の安定性向上に寄与することが期待される。さらに、航空機の通信や地上の電子機器への影響の予測や対策にも役立てられる。
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ESA